電力自由化を知る

ふと請求書を見ると、先月より高い電気代にびっくり。漏電?電気の使い過ぎ?そんなときは電気使用量をチェックして、電気代が高くなった原因を探してみましょう。実は電気代が高いときこそ、節約につなげるチャンス。この機会に電力会社や契約など家庭の状況を把握して、今より電気代を節約する方法を見つけましょう。

電気代が高いのはなぜ?|電気代が高くなる原因と対策方法

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明かりのついた電球と電卓

高い原因を探る前に|電気代のしくみとは

電気使用量(kWh)が電気代を左右

電気代が高い原因を探る前に、そもそも電気料金はどのように算出されるのかを抑えておきましょう。
電気代の計算方法は次の通りです。

電気代=基本料金+電力量料金(1kWhあたりの単価×電気使用量)
(※別途再生可能エネルギー発電促進賦課金と燃料費調整費額も加味される)

基本料金は契約内容に沿って毎月定額を支払うものなので、電気の使用量に応じて変わることはありません。
一方、電力量料金は、電気使用量に応じて支払う電力量料金(従量料金)から成り立っています。電気使用量が増えれば料金も高くなるので、月々の電気代を左右することになります。

電力量料金の内訳は、1kWhあたりの電力量単価(円/kWh)に、1ヵ月間で使用した電気量の総量(電気使用量)を掛け合わせたものの合計です。
kWh(キロワットアワー)は電力量の単位で、1kW(= 1000W)の電気を1時間(h)使い続けたときの消費電力量が1ヵ月の電気使用量になります。
電気使用量については、日々電力メーターがカウントしています。月々の支払いは、電力メーターがカウントした数値に基づき、請求書となる検針票が発行されます。

通常、電気の使用量(kWh)が増えれば増えるほど電気代も高くなります。電気代が先月より高いと感じた場合は先月分より電気使用量(kWh)が多い可能性が高いです。

電気代が高いときに考えられる原因

契約アンペア数が電気代の基本料金を底上げしている

電気消費量が少ないのに、電気代が高いと感じる場合は、アンペア数が原因かもしれません。
契約しているアンペア数が60Aとして、実際に1ヵ月で使う電気消費量が30Aとすると、使いきれない余分な30Aが生まれます。

電力会社によっては、使用するアンペア数が大きければ大きいほど、基本料金も高くなることがあります。毎月定額の基本料金が高ければ、1ヵ月間の電気使用量が少なくても電気代の請求自体が高くなりやすいです。
契約している電力会社が、アンペア数によって基本料金が決まっている場合は、生活スタイルに見合っていない可能性を疑ってみましょう。

アンペア数とは

アンペア数は電流の量を表す単位です。契約しているアンペア数は、複数の電気機器を同時に使用できる上限の電流量を意味します。契約アンペア数以上の家電製品を使うと、ブレーカーが落ち、自動で電流がストップするようになっています。

余分な電気の消費で電気代に影響

電気代が高くなる原因には、余分な電気の消費が影響していることもあります。
部屋の電気のつけっぱなしや、外干しができる天気なのに洗濯乾燥機を使用することなど、必要ない家電を使えば、その分電気使用量も増えるからです。

その他にも、電気代が高いのは使用する家電製品自体に原因があるかもしれません。
古い家電製品は消費電力が大きいため、電気代が高くなりやすいからです。
特に温風や熱風が出るエアコンや洗濯乾燥機、浴室乾燥機などの家電製品は、起動や運転での消費電力が大きいため電気代も高くつきやすいです。

電気代が高いと感じたら、一度必要ない部分まで家電製品に頼っていないか、買い替えたほうがいい古い家電がないか、買い替えも含めて見直してみるといいでしょう。

知らず知らず待機電力で電気代アップに

電気代が高い原因は、単純に電気の使いすぎだけとも限りません。
家電製品は、コンセントをつないでいる状態であれば、待機電力と呼ばれる電力が発生します。

待機電力は、スイッチを切っていてもコンセントにつながっていると勝手に電気を消費し、1年間の電気代のうち、5~10%ほどを占めるともいわれています。
炊飯器や給湯器など、タイマー予約ができる家電製品だと、待機電力も発生しやすくなります。

待機電力のせいで、知らず知らずのうちに電気代を高くしているかもしれません。

急激に高い電気代の請求が来た場合に考えられる原因

日ごろの電気の使い方が原因で電気代が高くなる以外にも考えられる原因はあります。
いつもに比べ、急激に高い電気代が請求されたときは次のような問題を疑ってみましょう。

  1. 家電製品の切り替え
  2. ライフスタイルの変化
  3. 電気料金の値上げ
  4. 漏電の可能性

電気代が急に高くなる可能性(1)家電製品の切り替え

電気代が急に高くなる原因として考えられるのが、電気消費量が多い家電製品への切り替えです。
今までより大きなサイズのエアコンや冷蔵庫、吸引力の強い掃除機に買い替えた場合は、電気消費量が増える分、電気代も高くなりやすいです。特にエアコンや冷蔵庫は電気消費量が多い家電製品といわれています。買い替えた種類によってはいつもより高い電気代が請求される可能性はあるでしょう。

その他、オール電化に切り替えた場合にも電気代が高くなります。今までガスを使っていた分のエネルギーを電気で賄うことになるからです。
先月より電気代が高いと感じたら、これまでと違う家電製品を使っていないか確認しましょう。

電気代が急に高くなる可能性(2)ライフスタイルの変化

いつもより高い電気代が請求された場合、ライフスタイルの変化が影響している可能性もあります。

結婚や同居などを始めると、一緒に生活する人数自体が増えるので、同じ家電製品を使っていても、これまでより多い回数や、長時間の使用になるからです。
お盆や年末年始など、大型連休によって家にいる時間が長かった場合も、自然と照明や冷暖房を使う時間が増えるため、電気使用量は増えると考えられます。

季節が影響することも|冬は電気代が高くなりやすい

1年のうち、冬は電気代が高くなりやすい時期といわれています。

住んでいる地域や暖房器具にもよりますが、エアコンの場合冷たい外気を使って室内を温めるのは、冷房より電気を消費します。
トイレ用温風ヒーターやパネルヒーター、加湿器なども、種類によっては電気消費量が多く、電気代が高くなりやすいです。使わない時はスイッチをオフにするなど、工夫が必要です。

電気代が急に高くなる可能性(3)電気料金の値上げ

先月より急に電気代が高いという場合は、電力会社の電気料金が値上がりしていないかも確認しましょう。通常、電気料金の値上げの際は事前に連絡が来ますが、うっかり忘れている可能性もあるかもしれません。
電気料金が値上がりしているかどうかは、請求書に記載されている、1kWhあたりの電力量単価や基本料金を、先月分と比較することで分かります。

電気代が急に高くなる可能性(4)漏電の可能性

契約や請求書などを見直しても原因が見つからない場合や、今まで通りの使い方なのに異常に電気代が高い場合は、漏電の可能性も疑ってみましょう。
漏電は伝線や部品が浸水したり、損傷することで、水を通して電気が外に漏れてしまうことです。一般的には伝線の老朽化や損傷によって起こるイメージかもしれません。ですが、家庭内でも起こり得る問題です。結露や湿気が家電製品やコンセントの中に入り込むことで、起こることがあるからです。

漏電は感電や火災の原因にもなりやすく、場合によっては重大な事故につながるリスクもあります。仮に漏電でない場合でも、電力メーターが故障して電気代が異常に高い状態になっている可能性もあります。
節電を心がけているのに異常に電気代が高いと感じたときは、早めにブレーカーのチェックをしたり、電力会社に電話して工事や修理の対応をしてもらいましょう。

まれに盗電されているケースも

ごくまれなケースではあるものの、漏電以外で異常に電気代が高い場合は、盗電という可能性も考えられます。盗電は勝手に他の住人に電気を使われることです。
マンションやアパートなどベランダにコンセントがある家庭の場合は、予防策としてコンセントのカバーをつけたり防犯カメラを設置するなどの対策が必要になるかもしれません。

電気代が高いときの対処法

電気代が高いときには、次のような対策方法で料金を下げられる可能性があります。

  1. 電力自由化をフル活用して電気代カット
  2. 電気代が安くなる料金プランを探す
  3. 最低限のアンペア数まで下げる
  4. 家電製品の使い方を工夫する
  5. 余分な待機電力をカットする

対策(1)電力自由化をフル活用して電気代カット

電気代が高いと感じた場合の対策のひとつは、電力会社の変更です。
日本国内では2016年4月から電力自由化が始まり、各家庭がそれぞれ契約する電力会社を自由に選べるようになりました。地域の電力会社以外に、新規加入した事業者との契約も選択肢にあることで、各家庭が最も電気料金が安くなる会社と契約できるようになっています。
資源エネルギー庁のデータによると、新規参入した電力会社の販売する電力量単価は、大手に比べ約4%ほど安い傾向にあります。
一般的に、1ヵ月の電気使用料が多いほど電気代が安くなる可能性が高いといわれています。ですが、電力会社の変更は、使用量が少ない家庭でもいつもと同じ使い方なのに電気代を節約できる可能性が十分あると考えられます。

電気料金の計算方法は大手電力会社と同じでも、料金が大手より5%も安くなるケースや、基本料金が無料となる電力会社もあります。中には、Looopでんきのように、30分ごとの電気使用量が分かる無料アプリを提供している会社もあります。日々、電気をどのくらい使っているのか、把握しやすくなるでしょう。
電力会社の変更は、基本的に新しく契約したい会社へ申し込むだけでOKです。現在契約している電力会社への解約の連絡は引っ越しの場合などを除いて基本的に不要です。
電力会社の変更について不明な点や、自分たちの家庭にとって一番安くなる電力会社を知りたい場合は、インターネット検索で出てくる電気料金比較サイトを活用しましょう。

簡単な情報の入力で、それぞれの電力会社の場合どのくらい安くなるのかを知ることが可能です。

各電力会社の供給する電気は優劣なし

電力自由化で不安に感じやすいことのひとつが、新規参入した電力会社との契約は、電気代が安くなっても使用に不具合が生じやすいのではないかという点です。
しかし、大手電力会社も新電力会社も、それぞれが供給する電力に優劣はありません。

各電力会社が供給する電気は、区別なく混ざり合って各家庭に供給されるため、大手電力会社の供給する電気にも、新規参入した電力会社の分が混ざっているからです。
加えて、電気の供給(送配電)については、今まで通り大手電力会社が行うので、問題が起こる可能性はほとんどないといえるでしょう。

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対策(2)電気代が安くなる料金プランを探す

最大限節電の努力をしているのに電気代が高いという場合は、電力会社の変更とともに、契約している電気料金プランも見直してみてください。
今より電気代が安くなるプランが見つかるかもしれません。
電力会社によっては、電気を使用する時間を特定することで割引が受けられるサービスを行っている場合もあります。
代表的なものは、夜間電気使用の割引です。日中仕事や学校で留守にする家庭なら、夜にまとまって家事をすることが多いはず。夜間電気使用割引は、夜の決められた時間内なら電気代が割引になるので、電気代の節約につながるでしょう。
その他、朝に電気を使うことが多い人のためのプランや、出張が多く土日しか家にいない人のためのプランが用意されていることもあります。
電気料金プランの変更は、各電力会社でシミュレーションが可能ですが、インターネットの比較サイトも利用すると便利です。

対策(3)最低限のアンペア数まで下げる

電気代が高いときの対策は、契約アンペア数を下げることで解決することもあります。
アンペア数を10A下げるごとに、毎月およそ200~500円の節約になるといわれているからです。

60Aで契約していたのを30Aに下げれば、月々600~1,500円の節約になると考えられます
一般的に、電圧100Vの家庭用コンセントで消費電力が100Wの家電製品を使用すると、1Aの電流が流れます。1000Wの家電製品を使えば、10Aの電流を使用することになります。
同時に多くの家電を使う家庭なら、契約アンペア数は大きめの数字にしておくほうが安心です。

ですが、1人暮らしや夫婦だけなど、少人数の世帯でほとんど電気を使わない家庭で、大人数の家庭と同じ契約アンペア数は必要なく、最低限の契約でも問題ないでしょう。
契約アンペア数の確認方法は、毎月届く検針票か自宅の中にある分電盤のアンペアブレーカーを見れば分かります。
食事の支度や冷暖房を使うシーズンなど、一度に多くの家電製品を使うシチュエーションを想定して、適切な契約アンペア数を選択しましょう。

ただし、関西電力、四国電力、中国電力、沖縄電力など電力会社によっては、契約アンペア数ごとに基本料金が設定されていない場合もあるので注意しましょう。

対策(4)家電製品の使い方を工夫する

電気契約や料金プランの変更とともに、日ごろから電気の使い方を工夫することも電気代を節約するのに効果的です。
電気消費量は家電製品ごとに異なるので、電気代が安い時間に使う、どうしても使わないといけないとき以外無理に使わないなど、ルールを決めておくといいでしょう。

家電製品の中でもエアコンは起動時に消費電力を多く消費し、電気代が高くなりやすいです。扇風機やサーキュレーターと併用すると、短い時間で効率的に温度調整を行えるのでおすすめです。

対策(5)余分な待機電力をカットする

電気代が高いと感じたら、使用しないときはスイッチを切る、長時間家を空けるときはコンセントからプラグを抜く、という習慣を心がけましょう。
1回1回は小さな節電かもしれません。しかし、年間電気消費量の5~10%を占める待機電力をカットできれば、確実に電気代はダウンするはずです。

冷蔵庫や電話機など、こまめに電源の抜き差しがしづらい家電製品を買い替える際は、消費電力や待機電力の低いものを選ぶようにしましょう。
新しい家電製品を購入した場合は、古い家電製品で使わないものがあれば電源を落としておくと余分な電気使用量が増えるのをカットできます。

ただし、エアコンの場合は、コンセントの抜き差しがかえって電気代を高くする可能性もあるので注意が必要です。

節電タップを活用

待機電力をカットするにあたっては、節電タップの活用もおすすめです。スイッチつきのテーブルタップなら、使いたいときだけスイッチを入れられ、手軽に待機電力をカットできるからです。
こまめなプラグの抜き差しは、頻繁に行うとプラグの先端の変形を引き起こすこともあります。節電タップを使えば、故障の防止にもなるでしょう。

電気代が高いと感じたときが節電のチャンス

高くなる原因を探って電気代カットへつなげよう

電気代が高くなる原因は、漏電など深刻な問題によるものだけでなく、余分な電気の契約や、知らず知らず積み重なった電気の消費など単純なことが原因かもしれません。
先月より請求が高いと感じたときは、契約内容や生活の中でどのように電気を使っているかを振り返るチャンスです。
電力会社や料金プランの変更を検討したり、こまめに待機電力をカットすることで効果が表れる可能性があります。電気代が高いと感じたときは、早めに原因を探り電気代カットにつなげましょう。

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