冷房の設定温度は28℃と言われていますが、年々夏の暑さが厳しくなるにつれ28℃では満足できず25℃、24℃と変更する方も多いのではないでしょうか。ここで気になるのは体に対する適温は何度なのかということです。寒くない程度に涼しいのが適温なのか、冷房の設定温度について詳しく見ていきましょう。
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冷房の設定温度と適温は違うの?エアコンの設定温度は何度がベスト?
エアコン冷房の設定温度と環境省が推奨する28度はどう違うのか
エアコンの冷房を使うとき、設定温度を何度にしているでしょうか。環境省が毎年実施するクールビズでは、室温28℃を目安としています。これは実際には絶対28℃でなければならないという意味ではなく、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令」と労働安全衛生法の「事務所衛生基準規則」で定められている17℃~28℃の室温設定の上限が28℃という意味があります。
報道ではエアコンの設定温度は28℃が望ましいといったイメージが強いため、冷房の設定温度=28℃という認識が刷り込まれているのかもしれません。実際には建物の状態や気温や湿度の高さなども考慮の上で、上限を28℃として快適な環境を保つことが望ましいことなのです。ちなみに環境省では28℃を推奨していますが、羽田空港ターミナルビルの運営会社である日本空港ビルディングでは、クールビズ期間中の一般ロビーの目標設定温度を26~27℃としています。
一般家庭では、帰宅直後の室内温度が高温になることもありますね。そういった場合は28℃にこだわらずに早く室内温度を下げることを優先しましょう。そのため設定温度を一時的に25℃、24℃と下げることになりますが、ある程度室内が冷えてきたら28℃にすることでも、電気代と体への負担を軽くすることができます。
気温差5℃は確実に体感する!外気温-5℃を目安に考えるのもおすすめ
近年は猛暑の夏が続き、エアコンなしでの生活は熱中症などのリスクを高めますね。地球温暖化の影響だと実感せざるを得ない状況ですが、気温が5℃違うと確実に温度の違いを実感することをご存知でしょうか。外気温が20℃だと暑くはないですが半袖より薄手の長袖が欲しいですね。25℃になると暑く感じられ半袖だけでも過ごせるようになります。このように5℃の差は確実に体感することがわかります。
気象庁によると2010年以降の東京都の7月と8月の最高気温は31℃台後半になることが増え、2018年7月は32.7℃、8月は32.5℃です。約33℃として考えればマイナス5℃は28℃になります。室内温度が28℃では快適とは言えなくとも、マイナス5℃を目安に涼しさを得る工夫をしてみてはいかがでしょうか。次ではエアコン以外でも涼しさを得られる、節電できる方法を紹介します。
冷房の設定温度を適温で涼しく快過に過ごす方法とは?
冷房の適温は条件で違い、東京都地球温暖化防止活動推進センターによるとエアコン冷房の設定温度を28℃に設定する人は44%、26~27℃に設定している人は38%と発表しています。全体の8割以上の方が26~28℃を室温にしているため、ここでは適温とする室温を26~28℃として考えていきます。
冷房の設定温度が適温の範囲でも、その日のコンディションによっては暑く感じることがありますね。もう少し涼しくしたいときは冷房の設定温度を下げるのではなく、自動運転を続けながらいくつかのポイントを工夫&チェックして試してみましょう。自宅やオフィスにいるときでも簡単に涼しさを得られるのが、薄着をすることや首を冷やすことです。ずっと首を冷やせれば良いですが、休憩時間に冷やすだけでも違います。またハンカチを水で濡らしても、部分的に冷やすことができますよ。
- カーテンやグリーンカーテンを使って窓から熱気が入るのを防ぐ
- 冷房運転の前に除湿機能を使って湿度を下げる
- サーキュレーターや扇風機を併用して室内の冷気を循環させる
- エアコンは基本的に自動運転にする
- エアコンの室外機の周囲は物を置かず、室外機が日陰になるように工夫する
- 薄着を心がけ、通気性の良い衣類を着る
- 首・手首・足首を保冷剤や濡れタオルなどで冷やす
職場にミニ扇風機などを持ち込める場合、ハンディタイプのものを持ち込むことも良いでしょう。近年では暑さ対策としてハンディタイプの扇風機も人気がありますね。濡れタオルで拭いた後に風を当てるとより一層涼しく感じられます。
冷房の設定温度を1度上げると電気代はどれだけ安くなるのか
冷房を使うときに常に気になるが電気代ですね。設定温度を1℃上げると節約できるといいますが、実際にはどれだけ電気代が安くなるのでしょうか。エアコンの消費電力から計算してみましょう。
冷房の設定温度を1度上げると単価27円なら約1.5円の電気代節約
公益財団法人 東京電気管理技術者協会をはじめダイキンでは冷房の設定温度を1℃上げると10%の電気代が節約できると発表しています。では実際に10%分がいくらになるかを計算していきましょう。エアコンは10畳向けのダイキン うるさら7 AN28WRS-Wの冷房時消費電力を参考にします。1kWh当たりの電気代は27円として1時間あたりの電気代を計算します。
ダイキンうるさら7 | 消費電力(W) | 節約できる10%分の電気代 |
---|---|---|
冷房時 | 550W | 1.48円 |
暖房時 | 660W | 1.78円 |
うるさら7のスペックで公式発表されている消費電力から計算すると、冷房時の消費電力は550W、1時間あたりにかかる電気代は550W÷1000×1×27=14.85円となります。10%が節約できるため、1時間に1.48円節約できる計算です。外気温や設定温度によって数値は変動しますが、1時間あたり約1円~1.5円ほど、1日8時間使用した場合、1ヶ月なら240円~360円の節約ができます。
設定温度の操作による電気代の節約は、冷房運転のときだけではなく暖房運転のときにも活用できます。ダイキンでは暖房運転のときも1℃下げれば10%節約できるとしていますが、メーカーや外気温との差により節約率が変動してもだいたい10%前後電気代が節約できると考えていて良いでしょう。
電気代節約に冷房の設定温度を上げても暑いときは湿度と汗をカット!
エアコン冷房の設定温度を1℃上げても、やっぱりまだ暑いときどうしたら良いでしょうか。せっかく節約のために1℃上げたのに汗をかくようでは元も子もありませんね。設定温度を下げる方法もありますが、体感温度を利用する方法でも暑さをしのぐことができます。
室内の湿度をチェックしてみてください。湿度が高くてむしむしするようなら、冷房よりも除湿機能を使って湿度を下げましょう。一緒に扇風機やサーキュレーターを使うと素早く快適空間を作ることができますよ。湿度が低くなるだけでも体感温度はぐっと下がり、扇風機の風も心地よく感じられるほどさらっと感を得られます。むしむしまで行かなくても湿度が高めなときにも有効な手段です。暑いなと感じたら除湿を30分~1時間ほどかけてみましょう。
それでもまだ暑いときは、これまでにかいた汗が不快感の原因です。首の後ろ側から鎖骨にかけて、濡れタオルや汗拭きシートでさっと拭きましょう。べたついていた汗がなくなってさらっとしますよ。余裕があればわきの下や腹部・背中も拭くとさっぱりします。ただ、拭き取りはやりすぎると肌の乾燥を招くので適度にしてくださいね。自宅にいる方ならぬるめのシャワーを浴びるのもおすすめです。
冷房の設定温度は26~28度が目安!適温で体に優しい涼しさを楽しもう
エアコンで冷房をかけるときは、ついつい28℃の設定温度を意識してしまいますね。クールビズ=エアコン冷房の設定温度は28℃という認識から28℃にこだわってしまいますが、実際には建物の状態や外気温、室内にいる人の年齢や状態により、17℃から28℃の間で適切に対応することが望ましいです。家族に赤ちゃんや高齢者がいる場合、28℃より26℃くらいが良いというケースもあるからです。
また冷房(暖房も)の設定温度を1℃上げると、電気代がおよそ10%節約できますね。電気代を節約するとしてもエアコンだけに頼るのではなく、扇風機やサーキュレーターの併用、湿度の管理、汗をかいている場合は汗を拭きとるなどの工夫で涼しさを得ながら実践することをおすすめします。
クールビズの方針は決して悪いものではありませんが、こだわり過ぎるのもよくありません。目安として覚えておきつつも、実際の暑さで体調不良にならないよう適切に冷房を利用するようにしましょう。