「愛知県」の電力自由化はどうなっている?
愛知県の電力事情
愛知県の電力使用量は全国第4位です!
愛知県の電力消費量は、平成20年の調査によると16,089GW/h(100万kWh=1GWh)です。電力消費量の総量は都道府県別でみると第4位と上位に位置しています。人口も同じく全国で4番目に多く、自動車産業を中心とする製造業が発展していることが上位となる要因と考えられます。消費量の内訳をみると、産業用の消費量が家庭用の2倍以上となっています。人口1人あたりの消費量においては全国で第25位と比較的下位に位置しており、群馬県と同等のレベルです。
産業用の電力消費量は全国第1位です!
電気事業連合会統計委員会によるデータをみると、平成17年に16,034GW/hだった愛知県の電力消費量は、平成19年には16,406GW/hまで増しています。しかし、平成20年には16,089GW/hまで減らしており、東京都や神奈川県など電力消費量において1,2位の地域と同じように省エネ対策が効果を上げているようです。愛知の人口1人当たりの電力消費量は全国で第25位となっていますが、産業用に関しては全国で第1位に位置しています。
日本一の実力を持つ愛知県の製造業!
平成25年工業統計調査によると、愛知県の製造品出荷額等は42兆18億円となっており、全国の約14.4%を占めています。第2位の神奈川県(17兆2,261億円)とは大きな差があり、37年連続で日本一の出荷額を誇ります。製造工場において使用される電力が多いことが、愛知県の産業用の電力消費量が全国第1位となる理由です。愛知県民1人当たりの電力消費量は2,239kW/hです
愛知県の人口は平成22年10月時点で7,410,719人と全国で4番目の人口数でした。愛知県の電力消費量は16,089GW/hであるため、1人当たり2,239kW/hとなります。この値を都道府県別でみると第25位と比較的下位になります。県内総生産は31兆8,815億円で 全国第3位 (平成23年度) と経済的にも成長し続けており、人口も増加傾向にある愛知県ですが、家庭用の電力消費においては省エネ化が進みつつあると考えられます。
中部地方の中での愛知県の電気事情
人口が多い地域でありながら1人当たりの電力消費量は少な目です
愛知県の人口は7,410,719人で全国第4位ですが、中部地方の他県をみると、岐阜県は2,080,773人(全国第17位)、三重県は1,854,724人(全国第22位)のため、愛知県に人口が集中しているようです。愛知県の人口は平成17年から22年までの間で約16万人と大きく増進しています。
愛知県の1人当たりの電力消費量は比較的少なめです
1人当たりの電力消費量に関しては、愛知県は全国で第25位(総数2,239kW/h)と平均以下となっていますが、同じ中部地方でみると、三重県は第21位(総数2,286kW/h)、岐阜県は第28位(総数2,210kW/h)となっています。人口が全国で3番目に多い大阪府における1人当たりの電力消費量は第15位(総数2,352kW/h)であるため、4番目に人口が多い愛知県ですが、1人当たりで比較すると比較的少なめであることがわかります。
愛知県民の電気の使い方
愛知県民はエネルギーに関して高い意識をもっています
夏は高温多湿で非常に蒸し暑い愛知県では、7月から9月までは電力消費量が大きく上昇しています。また、特徴の一つとして挙げられるのは電気自動車の普及率の高さです。次世代自動車復興センターが調査した「都道府県別 補助金交付累計台数」のデータによると、愛知県の普及率は東京都に次ぐ第2位となっています。平成21~26年度の累計台数は、東京都は7,954台、愛知県は7,522台で、自動車王国 愛知ならではの数値を表しています。このことは、愛知県民のエネルギーに関する意識の高さをうかがわせます。
愛知県の電力自由化の影響
愛知県民は電力自由化によってさらに電気代を節約できます!
全国で4番目に電気をよく使う愛知県ですが、電力消費量の削減を目指し様々な取り組みが行われています。住宅用太陽光発電普及率においては全国で第13位と比較的上位に位置しており、省エネに関する意識が高い愛知県民は「電力自由化」に大きな期待を寄せています。
電力自由化ってどういうこと?!
これまでは、地域ごとに特定された一社だけに電力業を独占的に行わせる法体制となっていました。発電、送電、送配電網に関しても特定の電力会社が保有していました。2016年4月から開始される「電力自由化」によって特定の事業者以外も家庭向けの電力供給が可能となるため、様々な業種の事業者が新たに電力業に参入し始めています。自由化されたことで消費者は多くのPPS(特定規模電気事業者)から契約する事業者を選ぶことが出来るようになります。また、そのことによって事業者間の価格競争がはじまるため、電気代が今までよりも割安となることが期待されます。
家庭用の電力市場が活発に動いています!
電力自由化によって中部電力など既存の大手電力会社だけでなく、様々な業種の企業が電力事業に参入しています。愛知県は産業用の電力消費量が日本一であるため、すでに多くのPPS(特定規模電気事業者)が存在しています。トヨタタービンアンドシステムなど法人向けの電力供給実績があるPPSが家庭用の電力供給に参入してくることが予測されるなど、サービス開始後は事業者間の競争が激しくなるでしょう。
トヨタ自動車では電力の自給自足をはじめています!
愛知県を代表する企業のトヨタ自動車は、2013年7月から100%子会社の「トヨタタービンアンドシステム」を通じて電力の小売り事業に参入しています。工場などの発電設備でつくった電力をグループ内の販売店や事務所に供給する法人向けのサービスですが、電力会社より安価な電力をグループに供給し、電気料金の負担軽減をはかっています。また、トヨタ自動車ではプラグインハイブリッド車を利用する住宅向けエネルギー管理システムを構築し、家庭においても電力の自給自足ができる仕組みとなる「Vehicle to Home」を推進しています。
名古屋市は再生可能エネルギーの導入拡大に尽力しています
名古屋市では、平成27年4月1日の時点で市が電力需給契約している1,055施設のうち、自由化の対象となっている654施設のうち約74%にあたる484施設で特定規模電気事業者による競争入札を行いました。競争入札を実施したほぼ全ての施設が中部電力以外の特定規模電気事業者と契約しています。他の都道府県と同じく環境に配慮した電力調達契約をすすめており、グリーンエネルギーが特に注目を集めています。名古屋市では再生可能エネルギーの導入拡大に向けて、太陽光発電事業(屋根貸し)をはじめとした様々な取り組みを行っています。平成28年2月末の時点で小中学校など184施設に太陽光発電設備を設置し、すでに発電が開始されています。
賢く選べばより豊かな未来をつくることができるでしょう!
愛知県は「ものづくり県」と呼ばれるほど製造業が繁栄しているため産業用の電力消費量が多くなっています。一方、家庭においては省エネ意識が高いこともあり、かなり節約できているようですが、電力自由化によって多くのPPS(特定規模電気事業者)からよりお得な事業者及びプランを選ぶことができるため、さらに電気代を節約することが可能となるでしょう。すでに行政や企業では電力に関する様々な取り組みをすすめています。各家庭においても賢い選択をすることで、より豊かな未来へとつながっていくでしょう。