「東京都」の電力自由化はどうなっている?
東京都の電力事情
東京都の電力消費量は全国第1位です!
東京都の電気消費量は、平成20年の調査によると 30,456GW/h(100万kWh=1GWh)です。電力使用量の総量では、2位以下を約1万GW/h引き離して断トツの全国第1位です。企業数が多く、総人口も全国で1位のため、産業用、家庭用のいずれにおいても高い値となります。ただし、人口1人あたりの使用量をみると、全国で第9位に位置しています。このことは、東京都民は省エネに関する意識が高いことを窺わせます。
東京都では省エネ化が推進されています!
電気事業連合会統計委員会によるデータをみると、平成17年に30,301GW/hだった東京都の電力消費量は、平成19年には31,011GW/hまで増えていました。しかし、平成20年には30,456GW/hまで減らしており、省エネ化が進み始めたことを示しています。東京都の人口1人当たりの電力消費量は全国で第9位となっていますが、産業用に限ってみると全国平均を下回っており、全国で35位に位置しています。香川県、秋田県と同等のレベルです。一方、総人口が多いため家庭用においては、圧倒的な1位で、2位の大阪府との差は約1.1万GW/hです。
東京都民1人当たりの電力消費量は2,497kWhです
東京都の人口は平成22年10月時点で13,159,417人と全国で1番目の人口数でした。東京都の家庭用の電力消費量は32,871GW/hであるため、1人当たり2,497kWhとなります。県の総人口が全国第44位の徳島県(2,459kWh)と同レベルの数値です。経済規模は圧倒的に大きい東京都ですが、都民の省エネ意識は高く、電力を節約するための環境には恵まれています
関東地方の中での東京都の電気事情
関東地方は人口に比例して電力消費も多いと思ったら・・・
東京都の人口は13,159,417人で全国第1位ですが、関東地方の他県をみると、神奈川県は9,048,331人(全国第2位)、千葉県は6,216,289人(全国第6位)のため、東京都には千葉県の2倍の人が住んでいることになります。関東地方では栃木県が全国第20位ともっとも少ない人口ですが、1都6県すべてが20位以内に位置しています。
東京都以外の関東6県は電気使用量が比較的少な目です
1人当たりの電力消費量に関しては、関東1都6県は東京都をのぞくと全国的に見ても人口の多さの割に電気をあまり使わない地域となっています。都道府県別電力消費量のデータでは、平成20年調べで東京都9位(総数2,443GW/h)、群馬県26位(総数2,233GW/h)、栃木県30位(総数2,165GW/h)、茨城県36位(総数2,097GW/h)、神奈川県39位(総数2,089GW/h)、千葉県41位(総数2,081GW/h)、埼玉県43位(総数2,067GW/h)と比較的少ない値を示しています。東京都以外の県は首都圏のベッドタウン的な役割を担っているため、昼間の電力使用が少なくなる傾向があり、そのことによって1人当たりの電力消費量が少なくなっていると考えられます
東京都民の電気の使い方
東京都の電気使用量が多い理由はヒートアイランド現象か?!
東京都の年間の平均気温は16.4℃で、都道府県別では18位ですが、気象庁露場のある大手町付近の観測によると、全国で最もヒートアイランドの影響が大きく、熱帯夜の日数は昭和初期と現代を比較すると3倍以上まで増しています。最高気温に関しては35℃を超える日も多く、東京の夏は年々暑くなっています。
東京都では熱中症の患者数が年々増しています!
夏には熱帯夜となる日が多く、日中もヒートアイランド現象によって暑い日が続く東京都では、熱中症にかかる患者数が年々大幅に増して来ています。国立環境研究所が発表した「熱中症によって救急搬送された患者数の推移」をみると、平成12年には年間412人であったものが、平成25年には4,517人まで大幅に増加しています。
東京都の電力自由化の影響
東京都の消費者は多くの新電力事業者から最適なものを選択できます
これまで見てきた電力消費量は、家庭用の電力使用量に限っていましたが、それらは各家庭の電化製品や電灯のために使うもので、商業施設や工場などの産業施設で利用する電気は含まれていません。世帯数が多く、全国で最も電気を多く使う東京都だからこそ、消費者が電気代を節約することで、日本のエネルギーに関する意識がより高くなると考えられます。
電力自由化により東京電力よりもお得な電力会社を選べるようになりました
最近、話題になっている「電力自由化」とは、これまでは各地域ごとに特定の電力会社としか電気の契約ができなかったのが、2016年4月から、消費者が各地域で自由に電力会社を選んで、電力を小売する販売業者と契約ができるようになる法改正を言います。これまで東京都では「東京電力株式会社」が一部を除き電気の発電と送電、小売りをほぼ独占して来ました。今回、家庭向けの電力供給が自由化されることによって事業者間の競争がはじまるため、電気料金が今までよりも割安となることが期待されます。
東京都の公共施設は全国に先駆けて電力自由化の恩恵を受けています
経済産業省では平成12年度に官公庁として初めて電力調達入札を実施しています。それによって電気代は前年比約4%の削減となりました。平成25年度には東京電力の電気需給約款(特別高圧A)よりも約2%電気代を削減しており、新電力を導入することで行政コストの削減に成功しています。東京都に在る産業労働局、建設局、水道局など271の公共施設では、年間の使用電力量としては約1億2,700万kWhを約27億4千万円で契約し、東京電力の料金と比べて約6.6%に値する1億9千万円程度のコスト削減を行っています。そのほかの公共施設でも積極的に新電力を活用し、電力経費の削減に取り組んでいます。
東京都庁では庁舎の電力を新電力(特定規模電気事業者)から調達しています
平成25年度には都庁舎の電力の一部を、東京ガスの100%子会社であるエネルギーアドバンスから調達しました。それまでは9,500kWの電力を供給する契約を東京電力と結んでいましたが、平成25年度には最大3,000kWの電力をエネルギーアドバンスから調達する契約を交わしました。エネルギーアドバンス社が保有する「新宿地域冷暖房センター」には、2基のガスコージェネレーションシステムが設置されており、東京都庁に隣接していることが最大の特徴です
平成25年10月から供給開始となった271の都関連施設では、新電力から95,643kWの電力を調達しました。産業労働局、建設局、水道局、教育庁の4局で削減されたコストは年間1億9千万円と大きな金額となっていますが、新電力事業者の間で価格競争が激化していることもあり、今後更にコストの削減が実現できると期待されています。
脱原発へとつながっていくクリーンエネルギーが関心を集めています
東京都交通局では、東京市が明治44年8月に路面電車と火力発電による電気供給事業を行う電気局を創設したときから長きに亘り電気事業を行っています。現在は、多摩川の水を利用した水力発電による電気事業を運営しており、最大出力の合計は36,500kWです。一般家庭34,000世帯の使用量に相当し、入札により決定した電気事業者に売却しています。東京都交通局は、多摩川の水という自然の恵みを活かした水力発電によって純国産のクリーンエネルギーを生み出していますが、このような公共機関だけでなく、住宅用太陽光発電システムを利用して、一般の家庭が発電した電力を電気事業者に買い取ってもらう仕組みも普及しつつあります。脱原発という意識もあり、よりクリーンな発電への関心が高まっています
東京都民は電力自由化でより豊かな生活を手に入れることが出来ます!
東京都では熱中症の患者数が年々増加していることもあり、特に夏季には電力消費量が大幅に上がります。オール電化システムの普及率は高めですが、省エネルギーに関する様々な取り組みに関しても官民ともに力強く勧められています。企業や公共施設ではいち早く新電力を導入し、電力コストの削減に成功しています。一般家庭においても、85社(2016年3月調査)という非常に多い新電力事業者のなかから各家庭にとってもっとも適した事業者を選択することが必要となっています。年間約13万円(平成25年 総務省統計局の家計調査)かかっている電気代が削減されることで、東京都民により豊かな生活がもたらされるでしょう。