オーブンは高温で調理することができる機能で、あらかじめ余熱してオーブン内を温めてから使います。そのため、余熱無しで使える他の調理家電よりも電気代が高くなる傾向です。しかし、お菓子作りや料理が得意な方には、無くてはならない調理家電でしょう。そこで、オーブンの1回の調理にかかる電気代はどのくらいなのか、詳しく調べてみました。
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オーブンの電気代計算方法を調査!時間帯・料理別に紹介
オーブンの電気代計算方法
オーブンには、その商品ごとの消費電力量が記載されており、この消費電力量から電気代を計算することができます。計算方法は{消費電力量(W)×使用時間(h)÷1,000(kWへの変換)}×1kWhあたりの電力量料金で計算することができます。パナソニックのスチームオーブンレンジNE-BS1400を例に計算してみますね。
スチームオーブンレンジのオーブンの消費電力は1.4kWです。調理にかかった時間が1時間、1kWhあたりの電力量料金を25円で計算すると、1.4(kW)×1.0(時間)×25(円)=35(円)になります。スチームオーブンレンジは80℃から300℃まで温度調節ができるので、幅広いメニューに対応可能です。幅広いメニューに対応できるのに1時間あたり35円なら、かなり安い印象を受けますね。
室温やオーブン内の温度が低いと電気代は高くなる
室内温度が低い季節は、オーブンを使うときに電気代が高くなる傾向があります。これは、室内温度が低いとオーブン自体も冷たくなってしまい、200℃でオーブンを使いたい場合、200℃に到達するまで時間がかかってしまうからです。室温が低いほど電気代がかかることは、意外と知られていないことで、オーブンを使うと電気代が高くなると思われる原因にもなっています。
オーブンを使った1回分の調理にかかる電気代は、1時間あたりおよそ35円なので、本来なら電気代が高騰するほどの影響力はありません。室温の低さや余熱にかかる時間に加え、何度もオーブンで調理する、その他の家電も併せて使うなど、電気代が高くなる理由があるでしょう。
オーブンの種類は大きくわけて3つ
オーブンとひと口に言っても、実際にはオーブンレンジ、オーブントースター、スチームオーブンのように大きく分けて3種類あります。言われてみるとすべてに「オーブン」と付きますが、全て食品への熱の伝わり方が異なります。
食品への熱の伝わり方は、伝導・対流・放射に分かれています。この3つのうち、食品の温度上昇に関係するのが対流による伝熱です。焼き色に関係するのが放射による伝熱で、それぞれ役割が異なっています。オーブンは、食品を四方から対流熱で加熱し、オーブン内に熱した空気を対流させて食品温度を上げて調理します。食品全体を均等に加熱できる調理方法です。
電力量料金単価は、1kWhあたり25円で計算しています。電気代を計算するときの参考にしてくださいね。
オーブンレンジ
オーブンレンジは、レンジ加熱・オーブン加熱・グリル加熱(商品によってはスチーム加熱・過熱水蒸気加熱)ができる、多機能な電子レンジといった位置づけです。オーブン加熱をピックアップしていくと、オーブンレンジ内の温度を一定温度に保って、食品全体をムラなく焼くことができることが特長です。
ヒーターの熱をファンで循環させて加熱する「熱風循環方式」と、「上下ヒーター方式」の2種類の加熱方法があります。オーブン加熱の消費電力が1,000Wの場合、{1,000W÷1,000×1.0(時間)×25円(1kWhあたり)}=25円、1時間あたりの電気代は約25円です。
オーブントースター
オーブントースター内の上下または、上か下のどちらかにヒーターが設置してあり、通電することで発熱して赤外線を発します。このヒーターから出る赤外線の放射熱により、食品を加熱することが特長的です。食パンなどを短時間でこんがり焼くことに適していますが、厚みのある食品の場合は中まで火が通らないこともあります。
オーブントースターの消費電力は商品により差があるものの、平均して1,000W~1,500Wくらいの商品が一般的です。1,200Wのオーブントースターで食パンを5分焼いた場合、{1,200W÷1,000×1.0(時間)×25円(1kWhあたり)}÷60×5(分)=2.5円、2.5円程度、1時間使用した場合は30円程度の電気代になります。
スチームオーブン(トースター)
スチームオーブンは、レンジ加熱・蒸す・オーブン加熱・スチームで温める機能がある多機能な電子レンジ進化版といった位置づけです。一般的なレンジ加熱に加えて、水蒸気を発生させて食材の乾燥を防ぐので、ラップ無しでもしっとりと温められることが特長です。
スチームオーブンでオーブン加熱をした場合、パナソニック スチームオーブンレンジを参考にすると、1時間あたりの電気代は、{1,400W÷1,000×1.0(時間)×25円(1kWhあたり)}=35円、約35円となります。
オーブンは加熱方法と用途で選ぶことがおすすめ
オーブンは加熱方法の違いにより、大きく3つの種類に分かれます。それぞれのオーブンを1時間使用した場合の電気代は、電力量料金単価1kWhあたり25円なら、25円~35円の間で推移しています。
オーブンはメニューにより使い分けることがおすすめで、こんがり焼き色を付けたい、全体をムラなく焼きたい、しっとり仕上げたいなど、希望に合うオーブンを選ぶことが、うまく調理する秘訣です。
オーブン1回分の調理にかかる電気代を安くする方法
オーブン1回分の調理にかかる電気代は、室内温度やオーブンの消費電力により変動します。オーブンの消費電力だけを考えた場合、1時間あたり最高で35円ほどですが、もっと電気代を安くするにはひと工夫必要です。
オーブン本体が10~15年以上前の製品なら、性能をチェックしてみましょう。オーブン機能だけを見ると、断熱性がアップしたことによる調理時間の短縮が見られますが、電気代を大幅に左右するほどの影響はありません。しかしオーブンレンジなどの多機能レンジの場合は、レンジ機能で差が出ることがあります。
15年前のレンジ機能は出力500Wのものが主流で、最新機種となると600W以上は確実です。消費電力も最新機種の方が上回りますが、加熱時間では最新機種の方が1/3程度になりスピーディーに温めることができます。総合的に見て約30%程度の省エネ効果も期待でき、レンジもオーブンも同じくらい使うなら、買い替える方が電気代を安くできるでしょう。
電気代の安い時間帯に調理することがおすすめ
通常の電気料金プランは、昼間よりも夜間の方が電気代が安く設定されています。東京電力のスマートライフで言えば、昼間は1kWhあたり25.33円、夜間は17.46円です。オーブンを使う時間帯を夜間にすることで、確実に電気代を安くすることができます。
仮にパンの発酵から焼き上がりまでを夜間に行えば、日中に焼くよりも確実に電気代を安くできます。また、もっと効率的に電気代を安くしたいなら、電気料金プランそのものの見直しが必要です。
電気代が気になるなら電力会社の変更も考えよう
毎日の生活の中で、電気代が高いと感じる場合、契約する電力会社を変更することも必要です。新電力会社の電気料金プランは、各電力会社ごとにさまざまな特徴があり、ライフスタイルに合わせたプランを選べてメリットも豊富です。
電気料金が安くなるだけではなく、ポイントプログラムの利用も含めて、自分に合うプランを選択できます。電気料金が高いと感じる場合は、現状の年間の電気代から5~10%程度安くなるプランを検討すると良いでしょう。
オーブンは賢く選んで使うことがベスト
オーブンはメニューの幅を広げてくれる便利な調理機能です。ローストビーフやミートローフも、オーブンがあれば簡単に作ることができます。近年はオーブンの種類も増えて、性能もどんどんアップしプロ並みに調理できる製品も登場しています。
従来のオーブンも十分に良い加熱方法ですが、よりしっとりした仕上がりにしたい、余分な脂は落としたいなど、用途や目的に合わせて選べるようになりました。電気代の節約を含めて、さまざまな製品から賢く選んで使うことがベストでしょう。