電力自由化により、一般家庭で使う電気も自分で選べるようになった反面、新電力各社の価格やサービスで工夫を凝らしたプランの数が多くなり、選択肢が複雑化した印象がありますね。新電力を比較する比較サイトのほとんどは、どの新電力が最も安いか、お得かなどを紹介していますが、多くの家庭がその条件に合致することは考えにくく、個人でじっくり比較することが重要なステージです。
もう迷わない!電力自由化はデメリットを含む3つの比較で絞り込む
ガス自由化にも混乱しない!電力自由化で活用できる3つの比較方法
新電力は、割引、サービス、ポイントなど、電気料金プランのほかにオプションを付けることで安さやお得感を出していますが、電気料金自体は本当に安くなっているでしょうか。純粋に電気代を安くしたいなら、ブレずに比較できる方法を試してみませんか?電力自由化で活用できる3つの比較方法を紹介します。
1.ガスとセット割を含めない基本の電気料金を基準にする
電力自由化がスタートしたばかりの頃は、電気代だけが安くなる料金プランが中心でしたが、ガス、携帯キャリア、プロバイダなどの企業が参入や提携を行い、電気とセットで契約すると割引になる、セット割を販売するようになりました。このセット割は一見すると魅力的に見えますが、比較するときは基本の電気料金で比較することが重要なポイントです。
セット割がある新電力の場合、電気単体ではあまり安くない料金設定が目立ちます。東京ガスのずっとも電気1で30Aを契約、月平均200kWh使用した場合の年間電気代は概算で66,036円です。東京電力従量電灯Bの場合では、概算で67,824円です。差額は1,788円で月額149円しか違わないのです。
東京ガス ずっとも1 |
第1段階料金 | 140kWhまで | 1kWhあたり | 23.24円 |
---|---|---|---|---|
第2段階料金 | 140kWhを超え350kWhまで | 23.45円 | ||
第3段階料金 | 350kWh超え | 25.93円 | ||
東京電力 従量電灯B |
第1段階料金 | 120kWhまで | 1kWhあたり | 19.52円 |
第2段階料金 | 120kWhを超え300kWhまで | 26.00円 | ||
第3段階料金 | 300kWh超え | 30.02円 |
基本となる電気料金を既存電力会社、または現状の電気料金プランでシミュレーションして、年間・月間でどれくらい節約になるかを比較すると、本当に安くなるプランが見えてきます。月額500円以上安くなるプランなら、乗り換えることがおすすめだといえます。
2.セット割のデメリットを理解する
多くの新電力がセット割を売りにしていますが、セット割はメリットだけではなくデメリットもあります。電力自由化でさまざまなジャンルの企業が参入しているだけに、多種多様なセット割がありますが、ついでだからセット割にすることはおすすめできません。セット割のデメリットで代表的なものは違約金の支払いで、電気とセットにしたもの双方に違約金が発生することも考えられるでしょう。
- 違約金
- 契約年数の縛り
- 電気代はさほど安くならない
- セット割の割引率が低い
新電力の公式ホームページでは、最も電気代が安くなるモデルプランで説明していることが多いです。そのプランを実際に契約した場合、必ずしも同じ金額が安くなるとは限らないので注意が必要です。モデルプランと自分の生活スタイルが同じか近いなら安くなりますが、セット割の条件を満たすことができない場合は、反対に現状よりも高い電気代になることもあります。
3.自分がお得になる申し込み窓口を比較する
比較検討の末、乗り換える新電力を決めたら、申し込み方法をチェックしてみましょう。もちろん、決めたからすぐに申し込むことはNGです。代表的な申し込み方法は、新電力の公式ホームページからのWEB申込か、電話による申し込みですね。ですが、他にもお得が上乗せされている申し込み方法があるので、最後まで気を抜かずに探してみましょう。
- 新電力の公式ホームページ
- 比較サイト
- 電話営業
- 代理店サイトなど
申し込み時の特典に差が生じるものには、スマホの乗り換えや光回線の乗り換えのときが挙げられます。申し込む窓口により、10,000円のキャッシュバックが付くことや、初期費用0円、金券のプレゼントなどがありますね。こうした特典は活用しない手はないものなので、申し込み窓口の比較もしっかりしておきましょう。
比較サイトからの申し込みには、新電力と比較サイトの乗り換え特典の両方獲得できることもあるので要チェックです。比較サイトがどこかの新電力と業務提携している場合は、提携するところの特典が厚くなっていることがありますが、希望する新電力にも特典があるなら、しっかりもらっておきましょう。
電力自由化は料金の仕組みもチェック!3段階料金と一律料金で比較
電力自由化により、電気料金の仕組みは大きくわけて2種類が主流です。既存電力会社が採用する3段階料金と、どんなに使ってもずっと一律料金の2つです。既存電力会社のほとんどは、電気料金=基本料金+使用電力量で決まり、使用電力量は、最初の120kWhまで、120~300kWhまで、300kWh以上などのように3段階に分かれています。電力自由化で選べるようになった電気は、電力会社はもちろん、料金の仕組みもしっかりチェックして選びましょう。
三段階料金とは?既存電力会社に倣った料金の仕組み
三段階料金とは、使用電力量に応じた電気料金単価が3段階で決められている仕組みです。東京電力従量電灯Bを例にして言うと、1ヵ月に200kWh使う場合、120kWhまでは19.52円で計算され、121kWh~は26.00円で計算する仕組みになっています。電気使用量合計額と契約アンペア数に応じた基本料金の合計額が月間の電気代になります。
東京電力 従量電灯B |
第1段階料金 | 120kWhまで | 1kWhあたり | 19.52円 |
---|---|---|
第2段階料金 | 120kWhを超え300kWhまで | 26.00円 |
第3段階料金 | 300kWh超え | 30.02円 |
第1段階料金が140kWhまで、第3段階が350kWh以上など電力会社により設定が異なり、加えて電気料金単価も上下するため、電気料金プランを選ぶときは多くの新電力で比較することが重要です。この3段階料金は、電気を多く使う場合、より高い電気代を支払う制度であり、節電を心掛ける制度でもあります。
一律料金とは?どれだけ使っても同じ料金・割引が適用される仕組み
一律料金には、新電力の楽天でんき、Looopでんき、ピタでんなどが代表的で、電気の使用量に関係なく一律の料金で使った分だけ支払う仕組みです。楽天でんきを例にすると、エリアごとに電気料金単価が決められていることと、基本料金が無料なことが大きな特徴です。月間に300kWh以上使用しても、電気料金単価がアップしないため、どのようらライフスタイルの方にも使いやすいでしょう。
エリア | 基本料金 | 電気料金単価 (1kWhあたり) |
---|---|---|
北海道電力エリア | 0円 | 29.50円 |
東北電力エリア | 26.00円 | |
東京電力エリア | 26.00円 | |
中部電力エリア | 26.00円 | |
北陸電力エリア | 21.50円 | |
関西電力エリア | 22.00円 | |
中国電力エリア | 24.00円 | |
四国電力エリア | 24.00円 | |
九州電力エリア | 23.00円 | |
沖縄電力エリア | 26.50円 |
新電力のうち、一律料金を採用しているところでは、契約期間の縛りや違約金が発生するケースがあります。しかし違約金がある新電力は電気料金単価が安い傾向で、違約金がない新電力はそれほど安くない傾向です。ポイント還元やポイント払いができる特典もあるので、こちらもやはりじっくり比較することがおすすめです。
電力自由化に過大メリットは期待せず今より得するプランを比較しよう
電力自由化がスタートして以来、電気代が安くなることを前提にした広告が目立ちますね。実際のところは、新電力の公式ホームページで公開しているモデルプランのように、大幅な節電になるケースは条件が合致する一部の方だけです。すべての家庭で新電力に乗り換えて、年間の電気代が各10,000円ずつ安くなったら、新電力は利益がなくなってしまいますよね。
新電力が紹介するモデルプランと自分の生活スタイルの条件が合致すれば、お得になる金額も大きくなるでしょうが、各家庭で生活スタイルが異なる以上、自分に合うプランを比較して探し出すことが必要なのです。電力自由化に対し、大幅な電気代節約を期待するのではなく、今よりも安くなる、または月額500円以上など自分なりの基準を設けて、自分の条件に合うプランを比較検討することがおすすめです。
電力自由化は事業者も利用者も、自分のニーズに合う電気を選べる仕組みです。自分の理想に近いプラン探しは、比較サイトなどを介して比較することが便利なため、いくつかの比較サイトを利用することも良い方法です。