電気の契約をするときに、一般家庭ではアンペア(A)数を契約しますね。このアンペア数の部分がkVAの契約があることをご存知でしょうか。普段はあまり目にすることがないkVAとは何なのか、ワット(W)やアンペアとはどう違うのかなど詳しく見ていきましょう。
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kVAとは?意味と読み方を解説
kVAの読み方はキロボルトアンペア、電力の単位の1つ
kVAの「k」は、重さのkg、長さのkmでも使われている「1,000の単位を示すキロ」のことで、「Vはボルト」、「Aはアンペア」を示しています。電気に関係するアルファベットの組み合わせのようでも、 kVAは電力の単位の1つなんです。
- 1,000g=1kg
- 1,000m=1km
- 1,000VA=1kVA
電力の単位といえば家庭内で使用する電気のアンペア(A)数が身近ですよね。kVAは見聞きする機会が少なく少しとっつきにくい雰囲気です。しかし電気の使用量が多い方はアンペアよりもkVAの方が見慣れているというケースもあるんですよ。東京電力従量電灯Cは、6kVA以上での契約が条件の料金プランで、従量電灯Bよりも多く電気を使用する方向けのプランです。
何となく、電力の単位の中でも大きな単位だということは、掴めてきたでしょうか。次ではkVAの意味を解説していきます。
V(ボルト)でもA(アンペア)でないkVAとは消費電力のこと
kVAのうち、V(ボルト)は、流れる電気の力の大きさで電圧を示しています。アンペア(A)は、流れている電気、電流のことを示しています。VA(ボルトアンペア)になると全体の電力の大きさを示し、これを皮相電力といいます。家電のうち電熱系のストーブなどは、使う電力と仕事をする電力が同じのため、VAと家電の消費電力の単位W(ワット)は数値が同じになります。
使用する家電が掃除機のようにモーター搭載のものになると、実際に使われた電力に損失が生じてしまい、VAとWは異なる数値になります。この比率のことを力率といい、VAから力率を差し引いた電力がワット(W)となります。そのため、WよりもVAの数値が大きくなります。
消費電力WとkVAとは何が違うのか
消費電力として一般的な単位はワット(W)ですね。ほとんどの家電の消費電力を表す単位がこのWです。このWとkVAはどんな関係なのでしょうか。kVAはVAの1,000倍を示す単位のため、VAと同じ消費電力と考えて問題ありません。両方とも消費電力を指す単位なのですが、具体的には内容が少し違うんです。
- W・・・実際に家電機器が機能を使うとき消費される電力の単位
- kVA・・・電気機器そのものを動かすのに消費される電力の単位
この違いを電子レンジで例えると、温め機能に消費される電力はW、電子レンジ自体を動かす電力はkVA(VA)となります。WとkVAは同じ消費電力の意味でも、電力の損失分も含めた単位のkVA(VA)の方が大きい数値になります。家電を使うときは、WとkVA(VA)との数値の差がないほどエネルギー損失無く電力を使えると判断します。
kVAとkWの違いは?10kVAは何kWなのか考えてみよう!
電力の単位は少し複雑で混乱してしまいそうでも、ちょっとしたコツを押さえて計算すると理解しやすいです。複雑な計算が苦手な方は電卓を使って計算してみましょう!kVAからkWへの換算方法とちょっとしたコツを紹介します。
kVAとkW(キロワット)は力率で変化!力率の関係を解説
kVAは家電を使うときにかかる全体の消費電力で皮相電力といい、kW(キロワット)は使用する家電が、機能を使い実際に消費する電力で有効電力と呼ばれています。皮相電力 kVAから有効電力 kWへの換算は、有効電力(kW)=皮相電力(kVA)×力率で求められます。
力率は掃除機などのようにモーターを使う家電を使うときに生じるエネルギーの損失率のことで、東京電力の低圧電力での力率の基準に基づき力率を85.0%として計算してみましょう。ちなみにこの力率は最高値が1となり、1の場合はエネルギー損失が無い状態で、有効電力(kW)=皮相電力(kVA)という関係になります。モーター類を使用しない電熱系の家電は、力率が1になることもあるんですよ。
10kVAは何kWになるのか実際に計算してみよう
10kVAをkWに換算する場合、「有効電力(kW)=皮相電力(kVA)×力率」の式に当てはめてみると、「8.5kW=10kVA×0.85」となります。8.5kWはWの1,000倍にあたる単位なので、Wに戻すと「8.5kW×1,000=8,500W」になります。この計算式を利用して契約する電気料金プランに当てはめてみましょう。
東京電力従量電灯Cは、6kVA以上の契約ができる従量電灯プランです。6kVAでの契約をしている場合を考えてみましょう。1kVA=1,000VAなので、「6kVA=6,000VA」ということになります。「有効電力(kW)=皮相電力(kVA)×力率」のうち力率を省くと、「6,000W=6,000VA」となります。6kVAの料金プランを契約している方は、6,000Wまで電化製品を1度に使える計算です。
力率を含めて考えると「6,000VA×0.85=5,100W」となり、実際には5,100Wまでの使用可能だとわかります。家電に表示されている消費電力(W)が、実際の消費電力とは力率の関係で差があるので、1度に使用する家電の組み合わせを考える必要があるでしょう。暖房家電の使用で電気代が高くなる冬、エアコンの使用が増える夏は、特に組み合わせに注意が必要ですね。
kVAとkWの換算するときのコツ!力率を省くと簡単に概算を出せる
kVAとkWを換算するときは、簡単に考えるためにはじめは力率を省いて計算してみましょう。また、kVAとkWのどちらにも「k(キロ)」が付いているので、「k(キロ)」を外すときは両方に1,000をかけます。実際に5kVAの場合で概算を出してみると、「有効電力(kW)=皮相電力(kVA)」に当てはめて「5kW=5kVA」となり、「k(キロ)」を外すと、5,000W=5,000VAとすることができます。
あくまでも力率を省いた概算なので、一応の目安として考えてください。実際にエネルギーの損失がある家電を購入するときは、力率を85.0%として計算するか、8割程度割り引いた消費電力で考えると良いでしょう。正確な数値が必要でなければ、ざっくり計算する方が簡単ですよ。
アンペアで考えると1kVAは何アンペア?
一般的な電気料金契約では、契約アンペア数を決めて使用する従量電灯プランが中心です。東京電力の従量電灯プランを参考にすると、従量電灯Bは10A~60Aまでのプラン、従量電灯Cは6kVA以上の契約ができるプランです。ちょっとピンと来ない方も、一緒に1kVAが何アンペアなのか見ていきましょう。
1kVAは何アンペアになるか考えてみよう
1kVAは「k」が付くことからVA(ボルトアンペア)で考えると1,000VAになりますね。日本で一般家庭が使用する電気は100Vです。では1,000VAが何アンペアなのかを考えると、「1,000VA÷100V=10A」となり、10Aだとわかります。
1kVAが10Aなら東京電力の従量電灯Cは6kVA以上からの契約なので、6kVAで契約した場合で計算すると「6,000VA÷100V=60A」となり60A以上の契約を希望する方向けのプランだとわかります。
単純に1kVA=10Aだと覚える方が早くても、電圧が200Vになるとこの限りではないので、計算方法も一緒に覚えておくことをおすすめします。
kVA単位の契約はオール電化向け、従量電灯Cなどがある
電気料金プランのほとんどはアンペア(A)での契約で、 kVA 単位の契約は比較的少ない傾向です。kVA 単位の契約には、オール電化向けのプラン、東京電力の従量電灯Cが代表的で、電気を多く使う方に向けた内容となっています。
東京電力のスマートライフは、主開閉器の容量に応じて6kVA以上の場合契約できます。基本料金や電力量料金は、スマートライフSと同じでも、多く電気を使用することを前提にしているためkVAによる契約となっています。オール電化向けのプランを契約している方で、kVA単位での契約かどうかを確認したい方は、各電力会社から送付される「電気ご使用量のお知らせ」を確認してみてください。
東京電力 スマートライフL | ||
---|---|---|
基本料金 (1kVAにつき) |
電力量料金 (1kWh) |
|
280.80円 | 午前6時〜翌午前1時 | 午前1時〜午前6時 |
25.33円 | 17.46円 |
東京電力の従量電灯Cは6kVA以上から契約が基本で、家電の使用が多い家庭や、業務量大型冷蔵庫などを使用する商店向けのプランです。しかし三段階料金を採用しているところや、基本料金の設定は一般家庭向けの従量電灯プランと同じです。
項目 | 単位 | 料金(税込み) | |
---|---|---|---|
基本料金 | 1kVA | 280.80円 | |
電力量料金 | 最初の120kWhまで (第1段階料金) |
1kWh | 19.52円 |
120kWhを超えて300kWhまで (第2段階料金) |
26.00円 | ||
300kWh超過 (第3段階料金) |
30.02円 |
kVAは電力の単位の中でも電気をたくさん使う方向けのもの
kVAという単位は、一般的な電気料金プランを契約している場合、ほとんど目にすることがない単位です。消費電力を表す単位のため、アンペア(A)で契約している場合は、少しわかりにくいところもあるでしょう。ですがkVAは電力のロスする分も含めているため、比較的、ロスする電力が多くなりやすいオール電化の方に向いているといえます。
一般住宅にお住まいのでも、頻繁にブレーカーが落ちる場合は、現状の電気料金プランの契約を見直してみてください。60Aの契約でもブレーカーが落ちるようなときは、電気料金プランの契約そのものをアンペア契約からkVA契約へ切り替えるよう検討することがおすすめです。
既存電力会社では個人の電力使用量の大きな契約でも、新電力では業務用のプランとして販売されていることが良くあります。個人でも業務用のプランが利用できるなら、思い切って契約することも1つの方法ですね。今後、kVAという単位で電気料金プランの契約をするとしても、なるべく節電するよう工夫していきましょう。