停電するとオール電化住宅では、家電が一切使えなくなるという弱点があります。太陽光発電も備えていれば停電中の電力もカバーできますが、万が一の停電でも慌てずに対処するにはどうしたら良いでしょうか。オール電化住宅で停電になったときの対処法を詳しく解説します。
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オール電化の方必見!停電が起きたらやるべき各家電の対処法
オール電化で停電が起きたらはじめにすべき家電対策
停電は予期せぬタイミングで起こり、雷や台風による断線などさまざまな原因があります。どのような原因だとしても、停電が起きたときは家電の電源プラグをコンセントから抜いてください。停電から復旧したときに起こる、火災や家電の事故を予防する効果があります。
ドライヤーやストーブなどの電熱器具、何らかの回転する家電は使用中でもコンセントから抜くようにしましょう。電源プラグが入ったままの場合、停電の復旧により急に作動することがあるからです。回転系の家電の場合、いきなり高速回転し出してケガをする恐れがあるので注意が必要です。
オール電化住宅の方でも分電盤にアンペアブレーカーがあるときは、停電発生後はブレーカーを落としてください。停電から復旧したあとは、先にブレーカーを入れ、その後家電の電源プラグを差し込むことで大きな事故を防止できます。
本当に停電?オール電化でもブレーカーが落ちてないか確認
オール電化住宅の方は、分電盤にアンペアブレーカーがあるかどうかチェックしてみてください。分電盤にアンペアブレーカーがあり、ブレーカーが落ちている場合は、契約アンペア数以上に電気を使ってしまい、安全のためにブレーカーが落ちた状態です。ブレーカーを入れることで電気は元通り使えますが、ブレーカーを入れる前に家電の電源プラグを抜いて安全な作業を行いましょう。
分電盤にアンペアブレーカーがないか、ブレーカーが入っているのに停電状態なら、何らかの原因で停電が発生している状態です。近隣でも真っ暗になっているなら間違いありません。停電情報をチェックして、復旧を待ちましょう。
オール電化でも不安になる停電は、停電情報をチェックして対策しよう
家中の電気とともに、近所の明かりもすべてが真っ暗になる停電は、オール電化住宅の方も不安になりますね。そんなときは、停電情報をチェックして、停電の規模や復旧の目途などの情報をチェックしましょう。停電を含め、災害時は情報の入手が重要です。各地域の停電情報ページからチェックできます。
停電中に役立つオール電化でスマホの充電を復旧まで持たせる方法
停電が長引く場合、携帯電話やスマホの充電が一切できない状態になり、必要な情報収集や連絡の手段がなくなってしまいます。停電を含む災害時は情報がないことが最も不安になりやすいので、携帯電話やスマホの充電はなるべく長持ちさせたいものです。携帯電話会社のKDDIではスマホのバッテリーを持たせる方法をTwitterで呼び掛けており、簡単にまとめると次のような項目が挙げられます。
- スマホのディスプレイの明るさを暗くする
スマホの中で最も電池を消費するのはディスプレイで、画面の自動OFFまでの時間を短く設定することも有効です。 - 「低電力」や「省電力」モードを使って節電する
Androidスマホは、電源長押しで「緊急時長持ちモード」「緊急種電力モード」「非常用節電モード」など、節電モードを選べます。節電しながらLINEやTwitterなどのSNSが利用できます。 - 通信状態が悪いとき・通信しなくても良いときは「機内モード」を活用
スマホが電波を探すことも電池消費になるので、必要最小限のスマホ利用が済んだら通信機能をOFFにする「機内モード」に切り替えて節電します。 - iPhoneは低電力モード設定すると節電
AppleサポートにはiPhoneで低電力モード設定をしてバッテリーを長持ちさせる方法を紹介しています。「設定」→「バッテリー」の順に選択し、低電力モードのオンとオフを切り替えて使用します。
避難所が設置されるような大規模停電の場合は、最寄りの避難所で発電機による充電が可能となります。順番待ちの上、1回分の充電に数時間かかることもありますが、1度フル充電できれば節電実施で2日程度は持たせることができるでしょう。
停電で冷暖房が使えない!オール電化でも水分補給と石油系家電を準備
停電で冷房が使えないときはこまめに水分補給を!
夏場の停電は冷房や扇風機が使えなくなるので、短時間でも熱中症にならない対応が必要です。厚生労働省では、屋内、屋外にかかわらず、のどが渇いていなくても水分・塩分を補給するよう呼び掛けています。経口補水液があれば、少しずつ口にしましょう。
また、体への蓄熱を避けるために通気性の良い衣類を着用し、できれば吸湿性がよく速乾性もある衣類だとより良いとされています。保冷剤や冷たいタオルなどを上手く使って、体を冷やすことも重要です。冷たいものがないときは、最寄りの避難所で配っていることもあるので聞いてみると良いでしょう。
停電で暖房が使えないときは
寒い時期の停電は、暖かい服装をすることが基本です。衣類の重ね着、毛布の使用、ホッカイロがあれば使用して防寒対策をします。最寄りの避難所に行く際は足元の冷え対策を厚く、大きなゴミ袋や断熱シートなどがあれば役立てるようにします。大きなゴミ袋は逆さまにして首と両手を出す穴を開けたあと、アウターの内側に着ることで暖かさをキープできます。
石油ストーブがあるときは、なるべく屋内で使用し、火災などの二次被害には十分な注意が必要です。石油ストーブの上にはやかんや水の入った鍋を乗せておくと、同時にお湯も沸かすことができます。
停電時、オール電化住宅でのトイレの水を流す方法
オール電化住宅向けのトイレの場合、停電や地震などの災害時は、汚水が溢れる心配があるので注意して水を流さなければなりません。便座メーカー大手のLIXIL、TOTOの2社を参考に、水の流し方を紹介します。
LIXILの水の流し方
LIXILを使用している場合、停電や断水のときには普段通りに水が流れないことがあります。その場合は、バスタブの残り湯があればその水を使って流します。事前に停電がわかっていて水を汲み置きできる場合は、汲み置きしていた水を使用してくださいね。
LIXILお客様サポートでは、始めにバケツ1杯の水を一気に流し、さらに3~4リットルの水をゆっくり流すことを促しており、この方法で2~3回に1回は排水管の中の詰まりを予防するだめにもバケツ2杯ほど流すよう呼び掛けています。
TOTOの水の流し方
TOTOお客様サポートでは、停電時の水の流し方として、手動レバーがある場合の手動洗浄するケースと、便器に直接水を流し込む方法を案内しています。手動レバーがあるタイプはネオレストA・D、ネオレストXなどがあります。
乾電池がない場合や停電が長引くときは、バケツで平均1~2杯ほどの水を流すことが必要です。排水管の詰まりに注意して行うようにしましょう。
項目 | 手動レバーがあるタイプ | 便器洗浄つまみがあるタイプ | その他のタイプ |
---|---|---|---|
停電が1日の場合 | 手動レバーで洗浄可能。 20回程度洗浄できる。 |
つまみを操作して便器洗浄が可能。製品ごとに手順の確認が必要。 | 一気にバケツ1杯分を流し、3~4リットルをゆっくり流す。2~3回に1回は倍量の水を流すと良い。 |
2日以上続く場合 | 乾電池を装着後、手動レバーで洗浄する。市販の単三電池2つで137回洗浄可能 | 1日の場合と同じ | 1日の場合と同じ |
停電で水道も出ない!オール電化でエコキュートなら機種を確認
停電で水道から水を出せないときや、お湯も出ないというときは、オール電化住宅ならエコキュートや電気温水器の中のお湯を使える場合があります。どちらの場合も新たにお湯を沸かすことや、飲用として使うことはできませんが、顔を洗うことや汗を流すことに使用できます。お湯を沸かしたばかりのときは高温のお湯がでることがあるので、扱いには注意が必要です。
電気温水器の場合も同様で、新たにお湯を沸かすことはできませんが、タンク内のお湯は飲用以外に使用できます。機種によっては停電中はお湯も水も使用できないものがあるので、各メーカーで確認して使うようにしましょう。また、エコキュートと同じように湯を沸かしたばかりのときで、湯を使用できる場合は、高温になっていることが多いので扱いには注意が必要です。
オール電化でも停電に備えて準備したガス・石油系のアイテムを紹介
オール電化住宅の方もそうでない方も、急な停電に備えてガスや灯油で使用できるアイテムを準備しておきたいものです。近年ではよほど大規模な停電でない限り、早期復旧となる事例が多いですが、いざというとき頼れるアイテムを紹介します。
停電に備えるならオール電化でもガス仕様のカセットコンロが必要
冬場の鍋料理に欠かせないガスボンベ仕様のカセットコンロは、停電などの災害時にもとても役立つアイテムです。長時間の使用には向かないものの、食事を調理する1~2時間の使用なら家族全員分の食事を用意できます。停電でIHクッキングヒーターが使えないときも、これ1つで代用できるでしょう。
ただ、カセットボンベも一緒に用意しておかないと使えないので、カセットコンロとカセットボンベはセットで準備してください。カセットボンベはメーカーにもよりますが平均7年の消費期限があります。1度に大量購入することも良いですが、できれば毎年使って、使った分だけ買い足す方が消費期限内に使いきることができ、万一のときも安全に使えるでしょう。
オール電化だから備えたい!石油ストーブは停電復旧が遅いときも安心
暖房が必要な寒い時期に停電が発生した場合、いくら厚着をしても追いつかず、小さな子供や高齢の方には体に堪えることもあるでしょう。そんなときに役立つのが石油ストーブで、大型でなくとも1台あると家族全員で暖を取ることができます。ストーブの上部ではお湯を沸かすなど簡単な調理が可能で、食事も温かいものを摂ることができます。
1台10,000円前後で購入できるので、オール電化の方でも1台備えておくことをおすすめします。ただ、石油ストーブは灯油が必要なので忘れずに購入してください。灯油は変質しやすいため、毎年餅を焼くときは石油ストーブ、といったように年に1回は使うようにすると、石油ストーブも灯油もメンテナンスを兼ねることができます。
停電の備えに発電機もおすすめ!オール電化ならガスボンベ方式が便利
普段の生活では発電機はほとんど需要がないので、いざ発電機と言われてもピンと来ない方もいるでしょう。発電機は主にキャンプでの使用、DIYで電動の工具を使用するとき、非常時の備えとして発電する機械です。YAMAHAによると、使用するシーンに合わせてモデルを選と良く、非常時の備えにはカセットボンベタイプが推奨されています。
カセットボンベタイプの発電機は、カセットコンロで使用するカセットボンベが使用できるので、併用できる点も評価されています。中心部にお住まいの方は騒音や保管場所で困るケースもありますが、低騒音、計量コンパクトなタイプもあるのでチェックしてみてください。
停電時に使える光アイテムと電力不要アイテムを紹介
停電中の夜間はとにかく真っ暗です。明かり欲しさにスマホを使ってばかりいてはバッテリーの消耗も進むため、乾電池があれば使える懐中電灯やライトをいくつか備えておきましょう。また、電力不要の手動式ラジオや手動式ランプもおすすめです。
暗い中でトイレに行くとき、小さな懐中電灯の明かりが1つあるだけで心強いものです。またペットボトルの中や下から懐中電灯を照らすと照明の代わりにも使えます。手動式のラジオやライトは、ハンドルを回して使うタイプが主流です。普段はキャンプなどで活躍するものですが、万一の停電にも役立つアイテムとしておすすめです。
停電時にオール電化が機能しない時にも頼れる食事と備え方
停電したときはIHクッキングヒーターも機能しないか、太陽光発電がある家庭でもいつでも使えるとは言えない状態になります。オール電化が機能しない状態でも、カップ麺を水で作る方法と、おすすめの備蓄方法を紹介します。
停電でオール電化の家電が使えなくても食事は水で作れる
停電中は長期化するほど食べるものの確保が難しくなり、特に温かいものは手に入りにくいものです。それでも自宅にあるカップ麺などを食べる方法があったら、試してみたいと思いませんか?警視庁警備部災害対策課では、カップ麺を水で作る方法をTwitterからツイートして話題となり、味もなかなか良いと高い評価を得ています。
対象となるインスタント麺はラーメン、焼きそば、うどん、袋麺で、用意するものは水のみです。調理時間はチキンラーメンのように味付き・細めの麺は水を入れて15分、うどんのように太い麺は粉末スープを先入れして20分が目安になります。
カップ麺 | 粉末スープが付帯するものは先入れし、麺が隠れる程度に水を入れて麺の太さに応じて15~20分待ち、ほぐれたら出来上がり。 |
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カップ焼きそば | 麺が隠れる程度に水を入れ20分待ち、水切り後液体ソースを絡めて出来上がり。 |
袋麺 | 粉末スープは先入れし、水を袋麺に直接注いで15分待ち、ほぐれたら出来上がり。調理中は倒れないように立てかけると良いでしょう。 |
インスタントラーメンは普段から食べなくても、万一の非常食として家族の人数×3回分くらいは備えておきたいです。年に1回は賞味期限をチェックして食べきるようにすれば、無駄なく備えることができます。
停電含む災害対策はオール電化でも回転備蓄がおすすめ
停電を始め地震などの災害が起こると、電気・ガス・水道・ネット回線などのライフラインが被害を受けることが予測され、住まいの倒壊がなければ在宅のまま避難生活を送ることが多いです。東京都防災ホームページによると、まずは3日分(7日分だと理想的)の備蓄を確保するよう促しています。
食料や飲用水、その他の備蓄品は、1度そろえたらおしまいではなく、そろえた食材などは定期的に消費して、また買い足していく回転備蓄が推奨されています。賞味期限や消費期限などの関係から、すべてを消費することは難しくとも、それぞれの範囲でやりくりしていくといつでも新しいものを備蓄できます。
オール電化だから停電さえなければOK、太陽光発電も備えてるから災害時も大丈夫と考えずに、水や缶詰などはもちろんのこと、パックのご飯や無洗米、ビスケットのほか、トイレットペーパーなども必需品と考えて、あらゆるシーンを想定した備蓄がおすすめです。
太陽光を備えたオール電化でも停電時の備えは必要
太陽光発電を備えているオール電化住宅でも、停電への備えはできる限りしておいた方が安心です。一時的な断線などの停電でも、食事の時間帯や入浴時間なら何らかの影響が出てしまうでしょう。日ごろから水やガスボンベ、水だけで調理可能なカップ麺などは、家族の人数分で数日分確保しておくことをおすすめします。
また、停電したときは家電のケアを優先し、コンセントにつながる家電の電源プラグを抜くことを徹底してください。停電が比較的短時間で復旧し、少し大げさな対応だったとしても、日ごろの心がけが最も重要です。オール電化の方でも停電を始めとする災害関連には、十分な備えをするようにしましょう。