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三段階料金が基本の電気料金は自由化で変化!新旧段階制料金を解説

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一般家庭で契約する電気料金は、使用量で電力量単価が上がっていく三段階料金が採用されています。基本的には使った分だけの電気代を支払うのですが、三段階料金が具体的にどんなものなのか、新電力の電気料金プランとどう違うでしょうか。三段階料金の仕組みと新電力との料金比較を解説します。

三段階料金は電気を多く使うほど高い電気料金を支払う制度

三段階料金ではなぜ電気を多く使うと高い電気料金になるのか

日本の電気料金制度は、明治44年3月の届出制からスタート、第一次石油危機を経験したことで、石油だけに頼る生活には不安があると考えるようになりました。昭和49年から電気料金の三段階料金が導入されて、電気料金を三段階に分けて単価の差をつけることにより、電気を多く使う人ほど高い料金を支払う仕組みを設けた経緯があります。税金制度と少し似ている部分がありますね。それぞれの段階料金を見ていきましょう。

第一段階料金

第一段階料金は0~120kWhの使用電力量に適用される料金で、電気事業審議会料金制度部会中間報告(昭和49年3月)に基くナショナルミニマム(国家が補償する最低限の生活水準)の考え方を導入した生活必需的料金設定です。三段階料金の中で最も安く、日本国憲法第25条の生存権との整合性を取るための措置としても知られています。一人暮らし、二人暮らしの方ならこの範囲で収まることもあります。
(関西電力・中国電力は15kWh~、四国電力は11kWh~、沖縄電力は10kWh~)

第二段階料金

第二段階料金は120kWh~300kWhの使用電力に適用される料金で、標準的な家庭が1ヶ月に使用する電力量、平均的な料金設定として位置づけられています。家電の普及に応じて、昭和49年の制度開始時の200kWhから、昭和63年に250kWh、平成8年に280kWh、平成12年300kWhと徐々に増加して、現状の上限300kWhに至っています。(北海道電力は120kWh~280kWh)

第三段階料金

第三段階料金は、300kWh以上の使用電力に適用される料金で、北海道電力は280kWh以上で適用されます。省エネルギー化に伴い電力の使用量をなるべく縮小する必要があるため、電気を多く使うことはできるが、その分高い電気料金を支払う必要があるという意味が含まれています。

一般家庭ではなるべく、第三段階料金の使用量には達しないことが理想的です。第二段階料金の上限内で済ませるには、節電が必要で契約アンペア数を見直すことや、1度に使う家電の使い方の見直しなどが必要です。

現状で三段階料金を採用中の従量電灯bcの違いを解説

三段階料金が適用されている電気料金プランの中で、従量電灯b・cは代表的な料金プランです。従量電灯プランは、基本料金と使用電力量の合計金額が電気料金になることが特徴的です。東京電力の従量電灯プランを参考にして見ていきましょう。

従量電灯bとcの違いは、1度に使用する電気の量で、一般家庭で使用する10A(アンペア)~60Aまでの契約ができるのが従量電灯b、電気の使用量が多く60A以上からの契約となるのが従量電灯cです。基本料金、三段階料金の料金設定はどちらも同じで、使用電力量が60A以内か以上になるかで契約形態が変化します。

従量電灯bの基本料金 単位 料金
基本料金 10A 1契約 280.80円
15A 421.20円
20A 561.60円
30A 842.40円
40A 1,123.20円
50A 1,404.00円
60A 1,684.80円

従量電灯b・cの基本料金は10Aあたり280.80円で、従量電灯bは契約アンペア数に応じた基本料金、従量電灯cは最低60A以上の契約で、最低60Aの基本料金は1,684.80円となります。使用電力量に対する単価も同じで、どちらも三段階料金が適用されています。

三段階料金適用範囲 単位 料金
電力量料金 最初の120kWhまで
(第1段階料金)
1kWh 19.52円
120kWhを超え300kWhまで
(第2段階料金)
26.00円
300kWh超過
(第3段階料金)
30.02円

50kW未満なら従量電灯より低圧電力の方が三段階料金でも安い単価

低圧電力は、店舗や工場向けのプランの中で、電気使用量が50kW未満200Vでの供給が条件のプランです。低圧電力は基本料金が固定、電力量料金は実際の従量電灯bよりも少し安い設定です。契約は従量電灯とは別になり、電気の使用量や低圧電力を使用する条件が合うなら、安い電力量料金で利用できます。

1年を通してエアコンを運転する期間が長い、1日の運転割合が大きい、業務用のエアコンが必要なほど部屋が広いなど、一般のエアコンでは足りない方は、低圧電力の導入と業務用の3相エアコンへの切り替えで電気料金を節約してみましょう。電気工事に数万円かかることがありますが、使用電力量が50kW未満の条件をクリアできれば安く利用できます。

低圧電力の料金単価 料金
基本料金 1,101.60円
電力量料金 夏季
(7月1日~9月30日)
17.06円
その他季 15.51円

三段階料金で最も高い電気料金の第三段階料金を避けて節約する方法

三段階料金のうち、最も高い第三段階料金は、電気の使用量が多いと判断できる領域です。一般家庭ではなるべく第三段階料金まで達しない電気の使い方が理想的で、節電する方が家計にも優しいです。標準的な電気使用量の第二段階料金の範囲で節約する方法を見ていきましょう。

節電第一!三段階料金で第二段階料金を目途に高い電気料金をセーブ

第三段階料金に達することなく第二段階料金の範囲内に収めるには、なんといっても節電が重要です。節電を考えると頭が痛い思いでも、1度部屋の中の家電を見渡してみてください。冷蔵庫やテレビのように毎日ずっとコンセントを入れっぱなしの家電を除いて、ときどきしか使わない家電、朝だけ・夜だけ使う家電などのコンセントはすべて抜いてください。使用する都度コンセントをさし、使用後は抜くようにすると意外なほど節電できますよ。

そのほかでは電気ポットや炊飯器の保温を使用しているなら、保温はやめてしまいましょう。お湯が必要になる都度沸かすか、熱湯にこだわらないなら電子レンジで温めるようにしてみてください。あとは、5年以上前に購入した家電は最新省エネ家電に買い替えてみましょう。節電を意識した行動をするだけでも、月々の使用電力量はぐっと下がるはずです。特に省エネ設計の最新家電は頼りになります。ぜひ、チェックしてみてくださいね!

三段階料金と新電力の電気料金を比較!自分に合うプランを選択しよう

2016年に電力の小売り自由化が始まり、既存電力会社のほかに新電力会社が提供する伝料金プランを利用できるようになりましたね。新電力のプランには、既存電力会社と同じように三段階料金のプランのほか、基本料金なし・電力量単価が一律、三段階料金でも料金設定や段階幅が異なるなど、多種多様な電気料金プランが登場しています。

新電力会社名 代表的な電気料金プラン
Looopでんき
おうちプラン
・基本料金0円
・電力量単価一律従量制
(エリアごとに単価は異なる)
東京ガス
ずっとも電気1S
・従量電灯b相当
・電力量単価が東京電力従量電灯bより少し安い
ガスとセットにできる
楽天でんき
プランS
・基本料金0円
・電力量単価一律従量制
ポイント最大1.5%還元
ソフトバンクでんき
自然でんき
・基本料金0円
・電力量単価一律従量制
再生可能エネルギー70%
東京電力
従量電灯b
・基本料金10Aあたり280.80円から
・三段階料金

新電力会社の数、新電力会社が提供する電気料金プランの数は膨大な数で、1つ1つチェックして比較検討することはもはや困難な状況です。そのため、新電力会社の電気料金プランを探す・比較検討・シミュレーションしたいときは、電気料金プラン比較サイトの利用がおすすめです。住まいの情報や家族構成、現状の電気料金プランなどを入力すると、条件に合うさまざまな電気料金プランを提示してもらえます。

メモ:新電力の電気料金プランのメリット

・東京電力の従量電灯に比べて電力量単価が安い。

・他の公共料金や固定費とセット契約ができて割引料金になる。

・独自のポイント還元が受けられる、ポイント払いもできる。

・再生可能エネルギーなど環境にやさしい電気の使用が可能。

・その他、キャッシュバックや年間割引など独自の特典を利用できる。

オール電化の方は既存電力会社を基準に新電力と比較してみよう

新電力は全体的に、夜間の電力量単価が安いオール電化向けのプランはやや少なめで、電気料金自体も少し高い傾向です。例えば、新出光のイデックスでんきの電力量単価は、夜22:00~翌朝8:00まで通年1kWhあたり12.62円で、昼間の25.60円の半額以下の料金設定です。

電力量単価が安くても、基本料金が1,571.40円~4,190.40円と高いので、電気料金としては割高になることが考えられます。季節により電力量単価が変動することや、独自の条件を満たすと割引が利用できても、月あたり、年間の電気料金をシミュレーションして比較した方が良いでしょう。条件が合うなら、新電力の方が安いケースも出てきます。

既存電力会社の三段階料金を基準に新電力と電気料金を比較

既存電力会社の三段階料金は、一般電気契約のほとんどで適用されるプランのため、新電力との電気料金比較においても基準になるものです。エリアによって多少金額が異なりますが、東京電力の三段階料金を参考に新電力の人気プランと電気料金を比較してみましょう。

使用量が多く電気料金が高いなら楽天でんきで三段階料金より安くなる

三段階料金のうち第二段階料金は、標準的な生活ができる電気使用量として1kWhあたり26.00円、300kWhまで使用できます。単純に40Aで200kWh使用した場合を計算すると、「(280.80×4)+(120×19.52)+(80×26.00)=5,545.6円」になります。同じ条件で楽天でんきで計算すると、「200×26.00=5,200円」で、345.6円安くなります。

楽天でんきは基本料金無料電力量単価が一律26.00円なので、電気を多く使うほど安さを実感できます。また電気料金を楽天カードで支払うとポイントが1.5%還元になり、この場合78ポイント獲得できます。電気料金はポイント払いができるので、実質電気代が5,122円になると考えても良いでしょう。1ヶ月ではわずかな金額でも年間4,147.2円、最大5,083.2円安くなります。

楽天でんきは30A~60Aの契約に向いているプランです。もう少し少ないアンペア数を希望する方はLooopでんきがおすすめです。楽天でんきと同じ、基本料金なし電力量単価一律26.00円で、5A~60Aの範囲で契約できます。ポイント還元はありませんが、一律単価で30A以下の契約を希望する方に適しています。

三段階料金よりも電気代が安いことにこだわるならあしたでんき

電力量単価が一律のプランは、電気を多く使う方にお得なプランでも、ほとんどのプランが従量電灯の第二段階料金を基準に一律料金に設定しています。電気代の安さにこだわりたい、一律料金だからこそ第二段階料金より少しでも安い方がいい!という方は、あしたでんきをチェックしてみましょう。

あしたでんきは、電気を多く使う方向けのプランで、基本料金無料電力量単価25.50円月300kWh以上使う方が対象です(標準プラン)。単純に200kWhで計算すると「200×25.50=5,100円」の電気料金となり、楽天でんきより100円安く、従量電灯bより445.6円安いことがわかります。

月間300kWh以上使用した場合を見てみると、電力量単価は従量電灯bの第三段階料金30.02円より4.52円安く、1ヶ月の電気料金はあしたでんきの方が1,356円も安くなります。月あたり電気料金が1,300円以上も安くなるところは、あしたでんきの安さを実感できますね!

三段階料金で電気料金が高いなら節電とプランの見直しがおすすめ

日本国内で最もスタンダードな電気料金プランの三段階料金は、電気の使い方、電気のある生活を考えた電気料金プランです。今、従量電灯プランで契約している方のうち、第二段階料金の範囲で収まっているなら、標準的な電気の使い方がきていると判断して良いでしょう。

現状の電気料金が高いと感じている、もっと安い電気代にしたい!と考えている方は、まずは節電を心がけてみてください。それでも納得できない、今よりもっと電気料金を安くしたい!という方は電気料金プランの見直しをしてみましょう。自分のライフスタイル、お住まいの地域に合う、新電力会社のプランを比較検討してみましょう。

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