長崎県の電力事情

長崎県の電力使用量は全国第29位です！

長崎県の電力消費量は、平成20年の調査によると3,141GW/h(100万kWh＝1GWh)です。電力消費量の総量は都道府県別でみると第29位となります。電力消費量の内訳では、家庭用の電力消費量が産業用をわずかに上回っています。県内には三菱重工業、三菱電機、佐世保重工業の工場があるものの産業の規模はあまり大きくなく、観光業の占める割合が高めです。ハウステンボス、グラバー園などの観光施設では、韓国、中国など海外からの観光客数が増加しており、観光による増収に期待しています。このような環境から、長崎県では産業用の電力使用量が比較的少ない値となっているようです。

産業用の電力消費量は全国第44位です！

電気事業連合会統計委員会によるデータをみると、平成17年に3,063GW/hだった長崎県の電力消費量は、平成19年には3,171GW/hまで増しています。翌年の平成20年には3,141GW/hと僅かに減らしていますが、数値だけ見ると省エネルギー対策があまり進んでいないと判断できます。産業用の電力消費量に関しては全国で第44位と非常に低いランクに位置していますが、今後さらに省エネ化を進めることができるでしょう。

長崎県民1人当たりの電力消費量は2,137kW/hです

長崎県の人口は平成22年10月時点で1,426,779人と全国で27番目の人口数でした。長崎県の電力消費量は3,141GW/hであるため、1人当たり2,137kW/hとなります。都道府県別でみると第32位と全国平均を下回っています。県内総生産は4兆3,800億円、全国第29位 （平成22年度） という平均的な経済規模の長崎県ですが、県民1人当たりの電力消費量においても同様のレベルとなっています。

九州地方における長崎県の電気事情

長崎県の人口は減少し続けています

長崎県の人口は1,426,779人で全国第27位ですが、九州地方の他県の人口をみると、福岡県は5,071,968人（全国第9位）、熊本県は1,817,426人（全国第23位）、大分県は1,196,529人（全国第33位）、佐賀県は849,788人（全国第42位） 等となっています。国勢調査によると、長崎県の人口は平成2年の調査以降は減少し続けており、平成17年から22年までの5年間でみると約5.2万人減となっています。特に、対馬、壱岐、五島列島など島嶼部における減少率が高く、今後も人口は減り続けると予測されています。

長崎県の1人当たりの電力消費量は九州地方の平均レベルです

1人当たりの電力消費量に関しては、長崎県は全国で第32位（2,137kW/h）と平均を下回るランクとなっていますが、九州地方の他県をみると、福岡県は第24位（2,246kW/h）、大分県は第23位（2,277kW/h）、佐賀県は第27位（2,215kW/h）、熊本県は第31位（2,147kW/h）等となっています。全体的に低い水準である九州地方において長崎県民1人当たりの電力消費量は平均的な値を示しています。

長崎県民の電気の使い方

夏は高温多湿になるため電気の使用量が多くなります

県全体としては温暖な気候で、季節ごとの寒暖差も大きくない長崎県ですが、大陸からの寒波の影響を受けて冬には真冬日が観測されることも多々あります。しかし、降雪量、積雪量は少なめです。夏は高温多湿な気候で、気温が高く降水量も多いため非常に蒸し暑くなります。近年は熱中症の患者数も増加しており、年々暑さが厳しくなっているようです。このような環境であるため、長崎県では夏にはエアコンの使用時間が長くなり、結果として家庭における電力の消費量が多くなっています。住宅用太陽光発電の普及率を調べたデータによると長崎県は5.1％（全国第7位）と高いランクとなっていますが、九州地方の平均以下の普及率です。

電力自由化ってどういうこと？！

これまでは、地域ごとに特定された一社だけに電力業を独占的に行わせる法体制となっていました。発電、送電、送配電網に関しても特定の電力会社が保有していました。2016年4月から開始される「電力自由化」によって特定の事業者以外も家庭向けの電力供給が可能となるため、様々な業種の事業者が新たに電力業に参入し始めています。自由化されたことで消費者は多くのPPS（特定規模電気事業者）から契約する事業者を選ぶことが出来るようになります。また、そのことによって事業者間の価格競争がはじまるため、電気代が今までよりも割安となることが期待されます。

風力発電など再生可能エネルギーの普及に力を入れています！

長崎県は日本でもっとも島の数が多い県です。それぞれの島で電力供給源をつくるため、洋上風力発電、太陽光発電からバイオマス発電まで幅広い再生可能エネルギーの活用をすすめています。特に、五島列島を中心にした海洋エネルギーの開発が注目を集めており、海に浮かべた風車で発電を行う国内最大規模の洋上風力発電施設が完成しています。洋上での風力発電は、海に囲まれた日本では今後更に開発が進むと考えられており、長崎県においても恵まれた環境を活かして拡大していく計画が進んでいます。

産官民が一体となってエネルギーの地産地消を推進しています！

佐世保市ハウステンボス町にある「長崎次世代エネルギーパーク」では、太陽光発電、コージェネレーションシステム、テーマ館、植物工場などの見学を通じて、エネルギーの「地産地消」が体験できるようになっています。施設では、長崎県の新エネルギーへの取り組みをPRし、再生可能エネルギーの普及に役立つことを期待しています。また、長崎県は温泉が多いため地熱発電に適しています。雲仙岳の麓にある小浜温泉では、平成25年4月から温泉水を活用した「小浜温泉バイナリー発電所」が運転開始しています。このように、長崎県は再生可能エネルギーを導入するための未開発資源が多いため、これから産官民が一体となって開発と普及をすすめていく必要があるでしょう。

賢く選んでさらにより良い暮らしを手に入れましょう！

再生可能エネルギーの開発および普及を推進している長崎県では、豊富な自然環境を活かしたエネルギーの地産地消を目指しています。家庭向けの「電力自由化」が始まったことで、すでに多くのPPS（特定規模電気事業者）がよりお得な料金プランや独自性のある契約プランを提案しています。各家庭においても、「電力自由化」によって節電・節約などのメリットを感じることができるでしょう。また、PPSのなかには再生可能エネルギーなどクリーンな電力を供給している事業者もあり、各家庭においては何を基準にして電力会社を選ぶかが重要となって来ます。幅広い選択肢のなかからそれぞれに適した電気事業者を賢く選び、より良い暮らしを手に入れましょう。