電力自由化を知る

なぜ電気代は値上げするのでしょうか


家庭向けの電気代は、2011年以降たびたび値上げが続き、2010年から2014年の間だけでも平均25.2%の上昇が見られます。さらに4年後の2018年は、電力会社各社で差があるものの、1月と2月だけで100円以上値上がりしている地域があります。電気代が値上げする理由や仕組みを考え、電力自由化による乗り換え検討に役立つ解説をしていきます。

電気代が値上げする理由

電気代の仕組みを解説

電気は毎日の生活に欠かせないエネルギーでも、どんな仕組みで電気代が決まるのかあまり知られていないものです。使用した分だけ電気代を支払うことはわかっていても、具体的にはどのように計算されているのでしょうか。電気代は簡単に考えると5つの項目を足し引きして計算しています。

1.基本料金

基本料金は電力の使用量に左右されない料金で、契約アンペア数に応じた料金を支払います。10A(アンペア)あたり280.8円かかり、30Aで契約すると842.4円が毎月かかります。

2.電力量料金

使用した分の電力量により変動する料金です。電力量料金=電力量料金単価×使用電力量で求められ、電力量料金単価は使用電力量により段階的に単価が変動します。

~120kWh 19円52銭 第1段階料金
121kWh~300kWh 26円00銭 第2段階料金
301kWh以上 30円02銭 第3段階料金

1か月の電力量が250kWhとして考えると、

19円52銭×120kWh=2,331.6円(第1段階料金)
26円00銭×(250kWh-120kWh)=3,380.0円(第2段階料金)

2,331.6円+3,380.0円=5,711.6円 この金額が電力量料金として基本料金に加算されます。

3.燃料費調整額

各電力会社で定められる調整額です。プラスにもマイナスにもなり得る部分です。燃料調整単価×使用電力量で求められ、東京電力の平成30年4月の燃料調整単価-2.55円/kWhで考えると、

-2.55円×250kWh=-637.5円

となります。この場合は計算過程でマイナスされます。

4.再生可能エネルギー発電促進賦課金

再生可能エネルギー発電を促進するための費用または手数料のようなもので、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×使用電力量で求められます。平成30年の賦課金単価は1kWhあたり2.90円です。

2.90円×250kWh=725円となります。

5.割引総額

電気料金の支払いを口座振替にしている場合、1か月-54円の割引が受けられます。大まかですが、電気代を求める5種類の数値が揃いました。これらの数値を合計すると請求される電気代がわかります。

842.4円(1.基本料金)+5,711.6円(2.電力量料金)-637.5円(3.燃料費調整額)+725円(4.再生可能エネルギー発電促進賦課金)-54円(5.割引総額)=6587.5円(円未満切り捨て)

大まかな計算方法ですが、東京電力の従量電灯Bプラン・30Aの契約で250kWhの電気を使用した場合、6587円の電気代が請求されることになります。

電気代が高くなるのは再生可能エネルギー発電促進賦課金が関係

電気代は電力をたくさん使えば、電力量料金が膨らみ、その分の料金を支払わなければなりません。しかし、電気代を値上げすると言われている部分は、再生可能エネルギー発電促進賦課金が上昇することと深い関係があります。

2016年 2円25銭/kWh
2017年 2円64銭/kWh (前年比+17.3%)
2018年 2円90銭/kWh (前年比+9.8%)

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、電力使用量に平等にかかるほか、すべての電力会社でその年の5月検針分から、翌年の4月検針分まで適用されます。2016年から2018年の間で見ていくと、再生可能エネルギー発電促進賦課金は毎年上昇し続けています。

特に2017年から2018年で比較すると9.8%上昇しているので、電気代が値上がりしていると判断できます。いつまで値上がりし続けるのかは断定できませんが、毎月の電気代が高くて負担になるなら、他の新電力会社への乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。

新電力の電気代値上がり状況と大手電力会社との比較

新電力の電気代計算方法

新電力の電気代は、

(自社の従量料金+燃料調整費+再生可能エネルギー発電促進賦課金)×使用電力量(kWh)

で求められます。計算項目の中に、燃料費調整費や再生可能エネルギー発電促進賦課金が含まれているので、電気代が値上がりする額はだいたい大手電力会社と同じになり、若干異なるとすれば値上がりする割合や、付加価値の内容が違ってくるといえます。

新電力を利用する=安いというニュアンスだけで判断することは難しいことです。電力を野菜に例えていうと、値上がりするときはほとんどの野菜が一斉に値上がりしても、購入する店舗や割引率・貯まるポイントは自分で選べるというところが新電力の魅力です。

そのため新電力は仮に一律で同じ値上がりをしても、ポイントや割引などの付加価値が付くことで安いと感じるケースがあるのです。また、電気の単価にあたる電力量料金をどこよりも安くしているという新電力もあり、新電力会社の何をメリットと捉えるかも重要なポイントになります。

大手電力会社と新電力会社の電気代が違う理由

大手電力会社10社の電気代と新電力会社の電気代は、大まかに比較すると約5%新電力会社の方が安く利用できます。これは、新電力会社が身を削って安くしているのではなく、既存電力会社が電力の安定供給を約束する代わりに、若干高めの料金設定をしてきたからです。

大手電力会社10社は、すでに安定した電力供給の実績と経営基盤があります。現在は火力を中心とした発電が行われ、日本全国隅々まで電気を届けることが可能です。この実績は「少し高め」の電気代を支払うことに納得させるものがありましたが、電力自由化により今後は変動していくものになったわけです。

電気代の値上げは今後も続くかもしれない

電力自由化により新電力会社が提供する付加価値は、既存電力会社に比べて魅力的に感じることが多いです。この先しばらくの間は、新電力会社に魅力を感じる人が増えることも予想できます。ですが電気代の現状維持はなかなか難しいようです。

日本では、発電する方法により電力コストが大きく異なります。現在は石炭による火力発電や水力発電が中心で、1kWhあたり約10円で推移しており、最も高いのは石油による火力発電と太陽光発電で、1kWhあたり約30円の電力コストがかかっています。

火力が中心の発電方法は、どうしても燃料費の影響を受けてしまいます。年々さまざまな燃料が値上がりしている中、発電のための石炭や石油も高騰し続けている状態です。電力自由化により、電気代が安くなることに期待が寄せられていても、将来的には値上がりし続けることもあるでしょう。

人口減少が電気代に影響する可能性もある

また、日本は人口が減少しており、なおかつ少子化も深刻な問題となっています。日本の人口が減ると電力消費量は減り、なおかつ省エネ家電が増えているので、ますます電力消費量は低くなります。

どんなに電気代が安い新電力会社があっても、利用する人がいなければ倒産していき、いずれは電気の全ての機能を持つ既存電力会社だけが残るかもしれません。随分先の話だとしても、既存電力会社だけが電気を売るようになれば、電気代の値上がりは緩やかに続いていくことが考えられます。

電気代の値上げは各社の比較で乗り越えよう

電気代の値上げは、発電時の燃料や既存電力会社の実績から考えると、この先避けられないものだといえます。だからといって毎月高額な電気代を支払うのは、家計にも精神的にも負担が大きいです。

電気代の値上げ対策は、新旧各電力会社の電気料金プランを比較して、ライフスタイルに合うプランを利用することである程度乗り越えられます。新電力会社のポイントや割引などの付加価値も考慮すれば、電気代の値上げ分をカバーできるかもしれません。

また、支払い方法を自分にメリットの大きなものに変更することも有効な手段です。電気代は今後も値上げが続くと腹をくくっておけば、今後の対策もしやすくなるでしょう。

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