電気代には基本料金と、実際の使用電力量の料金があり、両方の合計金額を電気代として支払います。電気代を節約するには、基本料金に関係するする契約アンペア数を下げると良いと言いますが、アンペアとはどのようなものでしょうか。アンペアの確認方法と電気との関係から見ていきましょう。
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電気代とアンペアの関係とアンペア数の確認方法
電気とアンペアの関係とは?電気代請求書やブレーカーを確認しよう
電気にはアンペア(A)といって、1度に使用できる電気の量を示す電流の単位があります。通常は使用するアンペア数の上限を決めて契約し、契約アンペア数以上の電気を使うとブレーカーが落ちて停電状態になります。既存電力会社の電気料金プランを契約している方で、アンペアブレーカーが設置してある家庭では、ブレーカーを見ると契約アンペア数をチェックできます。
アンペアブレーカーには、10A~60Aのいずれかの数値が記載されていて、地域によっては色で判断することができます。東京電力の契約アンペアの確認方法では、赤:10A、桃:15A、黄:20A、緑:30A、灰:40A、茶色:50A、紫:60Aに配色しています。地域により配色されている地域、色は使用しない地域があるのでチェックしてみましょう。
そのほかでは、電気料金の請求書、「電気ご使用量のお知らせ」から契約アンペア数を確認できます。お知らせには、住所や氏名のほかに契約しているアンペア数と使用した電力量が記載されてきます。電力会社により記載されている場所が異なりますが内容は同じです。また、Web明細やアプリを使用している方は、Webからも確認できます。
基本料金はいくら?契約アンペア数で電気代が変わる
主にアンペアは「従量電灯」というプランで使用されていて、10A(アンペア)~60Aまで7段階で契約できます。東京電力 従量電灯Bの場合、料金設定は次の通りで、10Aあたり280.80円で推移しています。この料金は、電気料金のうち基本料金として徴収されていて、30Aの契約なら毎月842.40円が基本料金です。これに使用電力料金が合算されて電気代が請求されています。
東京電力 従量電灯B |
|
---|---|
10A | 280.80円 |
15A | 421.20円 |
20A | 561.60円 |
30A | 842.40円 |
40A | 1123.20円 |
50A | 1404.00円 |
60A | 1684.80円 |
基本料金は、契約アンペア数が上がるほど高くなり、最大の60Aでは1684.80円まで高くなります。家族が多い家庭や、1度に使う電気が多い家庭に向いています。従量電灯Bのプランでは、原則として70A以上の契約はできません。70A以上の契約は違うプランでの契約が必要となり、例として100Aでの契約について詳しく見てみましょう。
100アンペアの電気代・基本料金と契約形態について
60Aを超えるアンペア数で契約する場合、単位がA(アンペア)からkVA(キロボルトアンペア)に変わります。VA(ボルトアンペア)は、電力を表す単位で、主に電源からお送り出される電力を示します。家電が消費する場合、消費電力としてW(ワット)で表し、掃除機で言えば掃除機を動かすのがVA、ゴミを吸い取るのがWと考えます。
1kVAは1000VAで、一般的な家庭の電圧100Vで使用する場合、1000VA÷100V=10A となります。100A=10kVAとなり、100Aの契約をしたい場合はアンペアブレーカーではなく、主開閉器(メインブレーカー)での契約が一般的です。東京電力では、従量電灯Cで、6kVA以上から契約ができます。
東京電力従量電灯Cで10kVA(100A)の契約、使用電力量を500kWh使用した場合、電気料金は17,104円になります。基本料金は10Aの10倍になるものの、使用電力量は従量電灯Bと同じ3段階料金が適用されています。
基本料金 | 280.80×10kVA | 2,808.00円 |
---|---|---|
最初の120kWhまで (第1段階料金) |
19.52×120kWh | 2,342.40円 |
120kWhをこえ300kWhまで (第2段階料金) |
26.00×180kWh | 4,680.00円 |
300kWh以上 (第3段階料金) |
30.02×200kWh | 6,004.00円 |
その他調整等 合計 |
-180.00円+1,450円 | 合計 17,104円 |
アンペア変更はどうすればいい?工事費と電気代について
アンペア数を変更したいとき、どうしたら良いでしょうか。アンペア数を上げるとしても下げるとしても、個人が操作して変更することはできません。契約アンペアの変更方法と、工事費はどれくらいかかるのか詳しく見ていきましょう。
アンペアの変更は電気会社に連絡でOK!電気代は基本料金日割で対応
契約アンペア数を変更するときは、電気を契約している電力会社に電話かインターネットからの申し込みをします。東京電力の場合だと、ご契約アンペアの変更から申し込みできます。こちらのページでは主に従量電灯Bの契約の方が対象で、60A以上へのアンペア変更を希望する場合や、変更日を急ぎたいときなどはカスタマーセンターへの相談が必要です。アンペア変更の流れは次の通りです。
- ご契約アンペアの変更から申し込み内容を入力します。このとき、「電気ご使用量のお知らせ」に記載されている「お客さま番号」が必要です。
- 申し込み内容の確認をして申し込みます。
- 希望日に自宅のアンペアの取り換え工事が行われます。立ち合い必要、工事時間は20分程度です。
通常はアンペア取り換え工事は無料ですが、もともとの設備の状態により別途費用がかかることがあります。
アンペア変更による取り換え工事で別途費用がかかる場合
もとのアンペアブレーカーの引込口配線が細く、変更後のアンペア数に対応した太さが無い場合は、引込口配線の交換が必要です。また、単相2線式の住宅で、40A以上への変更を希望する場合も屋内での配線工事が必要になります。
例えば、もともと20Aで契約していた住宅で、IHクッキングヒーターを導入するため60Aに変更しようとしても、住宅に導入されている電線が細くて対応できないというときに、増強工事を行うイメージです。この場合の費用は住宅により異なり、数万円から数十万円かかるケースがあります。アンペア変更の申し込み時点で、詳しく確認しておくことをおすすめします。
大きなアンペア数に変更したい場合は、事前に十分な検討をすると共に、ランニングコストも考えて変更するようにしましょう。また、契約アンペア数は基本的に年間契約です。春や秋は30A、夏と冬は50Aなどのような季節ごとの契約はできないので、最も電気を多く使うときのことを考えて契約すると良いでしょう。
新電力のアンペア変更も電気代や工事費を電話確認しよう
すでに電気は新電力会社と契約した!という家庭も多いと思います。新電力に契約した方も、基本的には契約アンペア数があり、ほとんどの新電力では、最も電気を使ったアンペア数を参考に契約アンペアを決めています。アンペア変更をしたい場合は、アンペアブレーカーではなく、スマートメーターの遠隔操作で変更できるケースもあります。
アンペアブレーカーでの変更時のように、工事に立ち会う必要がなく、停電状態になることもありません。アンペア数の変更は新電力会社への電話や、インターネットからの申し込みにより対応しています。また、新電力によっては既存電力会社で契約していたアンペア数に準ずることもあるので注意が必要です。
楽天でんきの場合は、既存電力会社で契約していたアンペア数と同じ条件での申し込みが基本のため、アンペア変更を希望する場合は、事前に既存電力会社でのアンペア変更が必要です。新電力に契約している方は、各新電力のアンペア変更方法を確認して、工事や費用について確認すると良いでしょう。
必要アンペア数は電気代より消費電力で計算
アンペアは1度に使える電気の量を示すものですが、必要なアンペア数はどうやって決めれば良いのでしょうか。世帯人数や電気代で決めるものではなく、どれだけの電気を使うかで選ぶ必要があります。普段の消費電力から必要アンペア数を計算する方法を紹介します。
消費電力がW(ワット)の家電のアンペア数の計算と電気代の関係
家電には消費電力がW(ワット)で記載されていることがほとんどで、アンペア数を知りたいときは、W(ワット)÷100V(ボルト)=A(アンペア)で計算します。例えば、1200Wの消費電力のドライヤーなら、1200÷100=12で12Aとなります。
消費電力が大きい家電は、電気代がかかるといいますが、アンペア数が大きい家電も同様に電気代がかかることを意味しています。
必要アンペア数の目安の考え方と電気代
自分に必要なアンペア数を決めるときはどうしたら良いでしょうか。家庭でのアンペア数は、普段から使うアンペア数と、一時的に使うアンペア数の合計で計算していくことがおすすめです。例えば、冷蔵庫、テレビ、照明、冷房、暖房は季節が違っても、長時間または1日中使うものです。そのため基本となるアンペア数として考えます。
基本となるアンペア数は季節で変動するので、最も電気を使う冬場で考えると良いでしょう。また、洗濯機、掃除機、ドライヤーなどは1日の中で一時的に使用するアンペア数として考えます。毎日使うものとして、冷蔵庫2.5A+テレビ2.1A+照明1A+エアコン7Aとして考えた場合、合計で12.6Aになります。これを基本として一時的に使うアンペア数を足していきます。
電子レンジ | 15A |
炊飯器5.5合 | 13A |
掃除機 | 10A |
エアコン | 6A~7A |
冷蔵庫 | 2.5A |
液晶テレビ42型 | 2.1A |
ドラム式洗濯乾燥機 (洗濯のみ) |
2A |
照明 | 1A |
朝に同時に洗濯機2A+炊飯器13A+電子レンジ15Aを使った場合、基本のアンペア数との合計で42.6Aです。この場合、契約アンペア数が40Aではブレーカーが落ちてしまうので、50Aでの契約が理想的と考えることができます。アンペア数を下げたいときは、なるべく同時に家電を使わないよう、家事を分散させていきましょう。
世帯別のアンペア数と電気代、60アンペア以上は契約種別変更で対応
一人暮らしから五人以上の大家族まで、必要なアンペア数は大きく異なります。ですが実際のところ一人暮らしに適した平均的なアンペア数はどれくらいでしょうか。使用する家電の種類でも変動しますが、平均的な必要アンペア数を計算してみましょう。
一人暮らしの電気のアンペア数と電気代
一人暮らしの必要アンペア数は、どんな家電があるか、自炊するかどうかなどの条件で変動します。最も電気代が高くなる冬の設定で、休日の朝を想定して計算してみましょう。自炊する方の場合で、朝に洗濯機を回しながらご飯を炊き、テレビを観ているシーンだとざっと30Aは必要になります。
冷蔵庫2A+エアコン7A+洗濯機2A+炊飯器13A+テレビ2.1A=26.1A自炊しない場合でも電子レンジ10~15Aを使えば同じくらいのアンペア数となり、20Aではブレーカーが落ちてしまいます。一人暮らしの電気代は平均5,000円前後ですが、快適に家電を使うなら30A、電気代を節約したいなら20Aと考えていて良いでしょう。
二人暮らしの電気のアンペア数と電気代はライフスタイルで変動
二人暮らしの必要アンペア数は、ライフスタイルにより異なりますが、夫婦二人、共働き、一人暮らしの場合と同じように冬の休日の朝で考えてみましょう。洗濯機を回しながらご飯を炊き、テレビを付けてお湯も沸かした場合、40Aは必要になります。冷蔵庫2A+エアコン7A+洗濯機2A+炊飯器13A+テレビ2.1A+電気ケトル10A=36.1A
洗濯機を後で回したとしても30A以上になるため、二人暮らしで快適に家電を使うなら40Aは必要で、電気代を節約するなら30Aといったところです。また、共働きの場合、夜間や休日に家事をまとめてやることが増えます。一度に使う家電が増えるときは、余裕をもった契約アンペア数がおすすめです。
夫婦でも専業主婦・主夫がいる場合、家事を分散させることで、30Aでも十分対応できることもあります。例えば、洗濯は夜に回して、ご飯はタイマーで早朝に炊くなどちょっとした工夫でも契約アンペア数を下げることができます。
60アンペア以上は契約種別変更も電気代はほぼ同じ
家族が多い家庭や、電気の使用量が60Aでも足りない場合は、どうしたら良いでしょうか。東京電力を例にすると、60Aまでは従量電灯B、60A以上の契約は従量電灯Cのプラン契約が必要です。契約種別は従量電灯Bから従量電灯Cに変更になりますが、実際の電力量料金や基本料金には差がありません。
使用電力量に変化が無ければ、基本料金の部分のみ割高になる計算です。基本料金が60A契約時よりも高くなりますが、その分ブレーカーが落ちることがなくなり、快適に電気を使えるようになります。
項目 | 単位 | 料金 |
---|---|---|
従量電灯C 基本料金 |
1kVA (10A) | 280.80円 |
電力量料金 | 最初の120kWhまで (第1段階料金) |
19.52円 |
120kWhをこえ300kWhまで (第2段階料金) |
26.00円 | |
上記超過 (第3段階料金) |
30.02円 |
アンペア数は必要分+αが目安!家事分散で電気代を節約しよう
電気の契約アンペア数は、使用する家電の合計アンペア数のぎりぎりよりも、少し余裕を持った契約がおすすめです。エアコンのように消費電力が変動する家電を使うときは特に重要で、一人暮らしでも20~30Aはあった方が安心です。家族が多い家庭や、同じ時間帯にいくつもの家電を使う家庭では、40A以上を検討すると良いでしょう。
契約アンペア数を上げると電気代が高くなると心配になりますが、電気代を安くしたいときは電気料金プランの見直し、新電力への乗り換えなども考えてみましょう。また、省エネ家電への買換えでも、普段の電気代を下げることができます。