電力自由化が始まると、契約できるプラン、業者の幅は一気に広がります。しかし「全国どこでも同じ」訳ではありません。
北海道、東北、北陸、関東、関西、中部、中国地方、四国、九州、沖縄の各エリア毎に、加入できるプラン・電気業者は、それぞれ異なります。
ここでは、各エリアごとに「どのような業者」やプランがあるのか、簡単に説明したいと思います。今回は、利用者の多い関東〜関西、中部…の順に「2016年4月以降の状況」を見ていくことにしましょう。
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関東エリアは、電力自由化の超激戦区! どのプランがお得か「見極め」が重要
国内でも最も「人口が集中する」関東エリアは、電力自由化の激戦区です。ここでは新たに参入する電気事業者も多く、従来の電力(東京電力)と最安を競っています。
ガス、通信会社、ガソリン系、旅行業者のプランが話題に!
関東でも話題を独占しているのが、通信会社、ガソリン系、旅行業者の参入です。
特に注目を集めるのは、割引率の高い、東京ガス、H.I.S(旅行業)、JXエネルギー(ガソリン系)、ジュピターテレコム(通信業)、東急パワーサプライ(東京急行電鉄の完全子会社)です。
また、東京ガスの「ずっとも電気1」は、30Aで従来の24.4%(637円)基本料金が安くなることで知られています。
東電の新プランを選ぶなら「ピーク電力」を見極めることが重要!
東京電力も負けていません。「スマート電力」と呼ばれる新プランで対抗しています。「スマート電力」は、電力を最も多く使った場合(三段階301kWh以上)の利用料金が安く、中規模のオフィスや商店、電気をよく使う家庭におすすめのプランです。
月々の基本代金は「1年のピーク電力」を元に計算されます。このため、エアコンをよく使う季節や、使用電力の多い家電を利用する際には、気をつけて節電する必要があります。
まずは、日頃の電気利用量を調べてから、東電とその他「新規参入業者」のプランをそれぞれ、比較してみてください。
関西エリアは、SoftBankと東電のタッグが人気! 関西電力は付加価値で対抗
関西エリアで人気なのは、意外にも「東京電力の契約プラン」です。実は、関西エリアに住んでいても、東京電力のプランが契約(利用)できます。
SoftBankは、東電と提携して新規事業を展開
SoftBankは、東電と提携し「ソフトバンクでんき」と呼ばれるサービスを開始します。
ソフトバンクでんきでは、300kWhまで一定額の「7,440円」で月々の電気が使用できるほか、スマートフォン、ネット、電気代をまとめると2年で最大148,800円安くなるプランが人気です。
また、東京電力は単体契約もでき、大手関西電力よりも15.6%〜26.2%安い電気料金(従量電灯Aを利用した場合)で、関西エリアの利用者を増やしています。
関西電力は、サービス重視! 付加価値で利用者の確保を狙う
関西電力は、価格面で他社にリードを許しています。しかし、関西電力の主力サービスである「はぴeみる電=利用者向けのサービス」の付加価値を高めています。
例えば、関西電力で年間契約を結べば1年で1,600円相当のポイントを付与するほか、水回りのトラブルに対応するサービスなど「顧客目線のサービス」を設けています。
中部エリアは東電が人気! 使用頻度が多ければ、H.I.Sの割引率がすごい
中部エリアでも「東京電力」が越境参入し、新たな料金体系で多くの利用者を獲得しています。
特に人気が高いのは「スタンダードX」と呼ばれるプランで、キャッシュバックやポイント還元も含めると、年間6万円から、最大13万円近くまで電気料金が安くなります(同居する家族の人数、使用量によって価格は異なる)。
また、東電とSoftBankが提携する「ソフトバンクでんき」も人気で、ポイント還元を含めると、年間9万円〜最大12万5千円といった、高額な電気代の節約が可能です。
最大16万円以上の節約が可能! H.I.Sの新料金プラン
単身世帯や夫婦だけの世帯では、H.I.Sの新プランが人気です。特に、電気使用量の少ないご家庭なら、年6万円〜8万8千円ほど(ポイント還元等含む)安くなります。
このほか、H.I.Sは使用電力量が多い家庭(40A~50A)向けに、新しいプランを設けています。ポイント等を含めると「年間約16万円以上」の料金が節約できます。
北海道、九州、その他エリアで人気の「新プラン」はコレ!
次に、北海道、九州、その他エリアの新プランについて、見ていきましょう。
北海道でも旅行会社、通信会社のプランが安い!
北海道では、北海道電力、北海道ガスなどの「道内企業」がありますが、価格の面では、H.I.Sやジュピターテレコム(J:COM)などの値引率が高くなっています。
また、北海道は寒冷地のため「電気代を多く使っても、割引率が高い」プランに人気が集中しています。ガス代などのセット割も比較し「どのプランが一番割引率が高いか」それぞれを比較し、申込を検討しましょう。
九州では、旅行会社のプランが話題! 次いで、携帯会社のプランが人気に
九州でも割引率が高いのは、旅行会社H.I.Sのプランです。電気使用量によって割引率は異なりますが、年5万円台〜最大16万円以上安くなるのでお得です。
H.I.Sに次いで人気なのは、au(KDDI)の新料金プランです。ここでは「電気使用量の少ない」家庭を中心に、年5万円台以上の割引が可能です。また、電気使用量が多ければ、最大16万円以上の割引も適用されます。
auの割引率は(H.I.Sより)やや少なめですが、スマホや携帯電話とのセット割がお得に利用できます。auを利用中の方は、新プランで「年間、どのくらい安くなるのか」シミュレーションしてみてください。
東北・北陸・中国・四国・沖縄では、参入企業は「やや少なめ」
利用者の多い、首都圏、中部、関西に比べると、東北や北陸、中国地方、四国、沖縄への「新規参入企業」は少なめです。このため、従来の電気事業者や、エリア内のガス会社で、新電力プランを(継続)契約する家庭が多いです。
地方では、大きな変化は見られないものの「ご当地向けプラン」など、新たなサービスが導入されています。
例えば、中国電力では電気使用量に応じてポイントを付与し、地域振興券と交換するなど「地域に根ざした」取り組みと、サービスを売りにしています。
この他のエリアでも、従来のプランに加えて、ポイントサービスをスタートさせたり、水漏れやガス点検のサービスを無料で付けるなど、新しい取り組みを行っています。
沖縄は、新規参入業者は1社のみ…
残念なことに、沖縄には新規参入業者がほとんど無く、これまでと同じ「沖縄電力」もしくは、HTBエナジーしか選択肢はありません。
ただし、沖縄電力でも「新プラン」の導入を検討しており、これまで以上に安く、お得な契約プラン設立が期待されています。
また、唯一の新規参入者「HTBエナジー」は、旅行会社H.I.Sが運営する電気事業者です。
まとめ:地域によって、電力自由化には温度差がある!
電力自由化には、地域差があります。関東や関西エリアのように、各社競って新プランを発表しているかと思えば、沖縄のように、新規参入業者のいない「無風地域」もあります。
住んでいるエリアが「どの事業者と対応」しているのか。まずは、利用できるプランを一括で、調べてみましょう。電力自由化比較サイトなどを利用すれば、利用できる業者を簡単にチェックできます。
ぜひ、便利な専門サイトや、電力自由化に関する特集記事を参考にして「2016年4月以降」の契約先や「新規利用プラン」を調べてみてください。